この記事は、以下のような方々を主な読者として想定しています:

  • 行政書士、社会保険労務士、司法書士、税理士、公認会計士、中小企業診断士など各種士業
  • 経営コンサルタント、ファイナンシャルプランナーなど企業支援の専門家
  • 中小企業の経営者、営業担当者
  • 補助金や融資支援に興味のある方
  • クライアントの資金調達支援に貢献したい方

この記事を読むことで、ものづくり補助金申請の基礎知識の土台を築くことができます。ぜひ最後までご覧ください。

「ものづくり補助金」は、中小企業・小規模事業者の革新的なサービスや製品開発、設備投資を支援する制度で、近年その重要性がさらに高まっています。公募は年に複数回実施され、採択件数も多く、国の成長戦略の一環として多くの注目を集めています。

申請でまず重要なのは、「誰が読んでも納得できる内容を揃える」ということです。特に補助金申請支援に取り組む方にとっては、単に記入するだけでなく「意図と根拠が正確に伝わる書類」を用意するスキルが求められます。
また、基本となりますが公募要領に記載されている必要書類は全て提出して下さい。
採択前に提出後に行政側より「この書類が足りません」といった助言を頂けることは基本的にありません。
尚、他の補助金やものづくり補助金申請採択後の場合は補助金事務局や行政より追加資料提出の指導を頂けることが稀にあります。

すべての申請者が提出すべき書類や必要データには下記のようなものがあります。

・基本情報

指定された電子申請システムへ入力します
【重要】こちらの基礎データを元に貴社は補助金事務局より審査されますが、毎年申請者全体の約1割前後の方がこちらの入力内容によって不採択が確定するようです。公募要領をご確認頂き従業員数や過去に申請した補助金の交付実績、貴社の業内容などがそもそも申請者の要件を満たしているか、申請する枠を間違えていないかなどを確認の上、申請手続きを開始して下さい。

  • 事業者情報
  • 常時使用する従業員数
  • 補助金等交付実績
  • 事業内容
  • 経費明細
  • 資金調達計画
  • 加点申請項目等

・事業計画書

指定された電子申請システムに入力します。補足の図や画像についてはPDF形式で提出してください。
※付加価値額や給与支給総額の根拠、各種数値が客観的に証明されていることが重要です。当社の経験上「何となく去年の1.5倍」など算出根拠が弱い事業計画での申請は不採択になる可能性が非常に高いです。ご注意下さい。

  • 補助事業の目的・取り組み内容・将来展望
  • 売上高や従業員給与の成長見込み
  • 他社との差別化戦略
  • 実施する補助事業の概要やガントチャートなど

・補助経費に関する誓約書

  • 経費の適正使用を誓約
  • 補助事業には国が助成する制度との重複がないこと など

・賃金引上げ計画の誓約書

【重要】誓約書作成自体は簡易ですが、申請時に提出した賃上げ計画にそって実際に賃金引上げを行わない場合のペナルティーが大きいですので、賃上げ計画策定時に実際に実現可能な数値か否かの確認はしっかり行いましょう。なお、賃上げが実施されているかについては、毎年提出を求められる賃金台帳により行われます。

  • 補助金申請採択後賃上げ実施することを誓約

・決算書等(法人の場合)

下記をPDF形式で提出します。
※創業1年以上2年未満の場合は1期分提出します。 なお、創業1年未満の場合は決算用の代わりに事業計画書及び収支予算書を提出します。
※特定非営利活動法人の場合は活動計算書を提出します。
※製造原価報告書未作成の場合は提出しない選択も可能です。

  • 直近2期分の貸借対照表
  • 損益計算書
  • 販売費及び一般管理費明細書
  • 製造原価報告書(未作成の場合、省略可)
  • 個別注記表

・決算書等(個人事業主の場合)

下記をPDF形式で提出します。
※創業1年以上2年未満の場合は1期分のみを提出します。
※創業1年未満の場合は事業計画書及び収支予算書を提出します。

  • 直近2期分の確定申告書(第一表~第五表(申告時に提出したもののみで可))

・従業員数の確認書類(法人の場合)

下記をPDF形式で提出します。
※補助金申請時点における労働者名簿の写しは労働基準法にのっとって作成したものを提出します。

  • 労働者名簿の写し
  • 法人事業概況説明書の写し

・従業員数の確認書類(個人事業主の場合)

下記をPDF形式で提出します。
※補助金申請時点における労働者名簿の写しは労働基準法にのっとって作成したものを提出します。

  • 労働者名簿の写し
  • 収支内訳書又は青色申告決算書の写し

こちらは事業者の状況によって提出が必要となる書類です。
次世代法一般事業主行動計画公表の確認
 ※従業員数21名以上の場合に対応を必要となります。
・再生事業者にかかる確認書

 ※再生事業者に該当する場合に対応が必要となります。
 ※再生事業者であることを証明する書類をPDF形式で提出します。
・大幅な賃上げ特例に係る計画書

 ※大幅な賃上げに係る補助上限額の特例を申請する場合に必要です。
 ※必要な計画書を作成しPDF形式で提出します。
・最低賃金引上げ特例に係る状況の確認資料

 ※この特例により補助率引き上げを申請する場合は下記が必要です。
 ◆指定条件を満たす賃金台帳(3か月分)をPDF形式で提出。
 ◆指定条件を満たす労働者名簿(3か月分)をPDF形式で提出。
 ◆指定条件を満たす雇用状況のデータを電子申請システムへ入力。

資金調達に係る確認書
 ※金融機関より資金調達する場合、所定書式を記入の上PDFで提出。
【ポイント】補助事業を金融機関が承認したとの事になるため本書式提出は審査の観点からプラスに働く場合多くオススメです
・海外事業の準備状況を示す書類

 ※グローバル枠へ申請を行う場合に対応が必要です。
・加点関連資料

 ※加点項目の申請を行う場合は下記への対応が必要です。
 ◆経営革新計画の写し
 ◆事業継続力強化計画(受付番号等の入力要)
 ◆被用者保険(特定適用事業所該当通知書の提出等)
 ◆事業承継/M&A(別途ご確認下さい)

  • 提出様式に沿うこと:公募要領の参考様式を確認。
  • 誤字脱字に注意:小さなミスが致命的になるケースも。
  • 図表を効果的に使用:視覚的な説得力を高める。
  • 整合性の確保:事業計画書と他書類に矛盾がないように。
  • 注意:必要書類は公募ごとに異なります。ご自身が申請される回の公募要領にてご確認下さい。

採択後も提出すべき書類が多数あります。準備に追われないよう事前に把握しておくことが肝心です。

  • 交付申請:現況確認資料、相見積書など
  • 遂行状況報告:遂行状況報告書、経費明細表など
  • 実績報告:実績報告書、設置場所画像、費目別支出明細書など領収書、契約書、納品書等との整合確認
  • 事業化状況報告:賃金台帳、事業化状況報告書など
補助金支援の需要

補助金支援は需要が大きい分野です。士業やコンサルとしてこれから開業する方や独立を目指す方にとって、正しい書類作成支援ができるスキルを持つことは圧倒的な差別化要因になります。

  • 補助金と他制度の整理力
  • 経営者とのヒアリング力
  • 数値根拠を論理的に記述する力

これらの力が問われる分野だからこそ、補助金申請支援業務を習得すれば将来的な安定収入につながる可能性も高いです。

現在、補助金申請支援や銀行融資支援対応を体系的に学べる補助金・融資コンサルタント育成講座を開講しています。本記事を読んで「この分野で力をつけたい」と感じた方にとって、最適なステップアップの機会となります。

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ものづくり補助金の申請においては、的確な書類準備と論理的な構成が成功の鍵です。とくに新人士業の方には、書類作成の技術を身につけることで独立後の安定収入確保にもつながります。

補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。

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