小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化などの取り組みに対して、国が費用の一部を補助してくれる制度です。対象は中小企業や個人事業主などの小規模事業者で、補助率は2/3、補助上限額は最大200万円(枠によって異なる)と、事業の成長を後押しする強力な支援策です。

しかし、補助金の申請から実際の入金までには、複数のステップと長い時間がかかります。特に初めて申請する方にとっては、どのタイミングで何をすべきかが分かりづらく、申請の途中でつまずいてしまうケースも少なくありません。

この記事では、補助金申請初心者の方に向けて、申請から補助金の入金までのスケジュールを時系列で詳しく解説します。各ステップで必要な書類や注意点、スムーズに進めるためのコツも紹介しているので、この記事を読むことで、補助金申請の全体像と実務的な流れをしっかりと把握できるようになります。

補助金の入金までには約1年かかるケースもあるため、資金繰りや事業計画に余裕を持って取り組むことが重要です。ぜひ最後までご覧いただき、申請成功への第一歩を踏み出してください。


  1. 補助金申請の全体スケジュール概要
  2. ステップ1:GビズIDプライムアカウントの取得
  3. ステップ2:経営計画書・補助事業計画書の作成
  4. ステップ3:商工会議所で事業支援計画書を取得
  5. ステップ4:その他の必要書類を準備する
  6. ステップ5:Jグランツで電子申請を行う
  7. 採択後の流れと注意点
    7-1. 交付決定通知書の受領と補助事業の開始
    7-2. 実績報告書の提出
    7-3. 精算払請求と補助金の受取
    7-4. 事業効果等状況報告の提出
  8. 小規模事業者持続化補助金の流れ(サンプル例:表で解説)
  9. よくある質問(FAQ)
  10. 補助金申請を成功させるためのポイント
  11. まとめ|次に読むべきおすすめ記事

小規模事業者持続化補助金の申請から入金までは、以下のような流れで進みます。全体の所要期間はおおよそ10か月〜1年程度。各ステップには締切や審査期間があるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

補助金申請の主な流れ(時系列)

ステップ内容目安時期
1GビズIDプライムアカウントの取得公募開始前〜公募期間中
2経営計画書・補助事業計画書の作成公募期間中
3商工会議所で事業支援計画書を取得公募締切の約1週間前まで
(商工会により締日が異なる)
4その他の必要書類を準備公募締切までに完了
5Jグランツで電子申請公募締切日までに電子申請
6採択結果の通知締切から約1〜1.5か月後
7交付決定通知書の受領採択後2〜6週間程度
8補助事業の実施(約6か月)交付決定後〜半年間
9実績報告書の提出補助事業終了後30日以内
10精算払請求・補助金受取実績報告後1〜2か月後
(ステップ1から約1年)
11事業効果等状況報告補助事業終了から1年後

この流れを把握しておくことで、各ステップで慌てることなく、計画的に準備を進めることができます。


補助金申請を電子申請で行うには、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須です。GビズIDとは、法人や個人事業主が複数の行政サービスを一つのIDで利用できる共通認証システムで、補助金申請システム「Jグランツ」でも使用されます。

✅ 取得の流れ

  1. GビズID公式サイトにアクセス
  2. メールアドレスや事業者情報を登録
  3. 必要書類を準備し、郵送またはオンラインで申請
  4. 審査・発行(2〜3週間程度)

📌 必要書類の例

  • 【法人】印鑑証明書、代表者の本人確認書類など
  • 【個人事業主】印鑑登録証明書、マイナンバーカード(オンライン申請の場合)

GビズIDの取得には時間がかかるため、公募開始前または早い段階で準備を始めることを強くおすすめします。

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当社からのアドバイス:
▶GビスIDは使える状態か確認しましょう
GビスIDは補助金の申請に必要なため、取得することは当然ですが、弊社の体験談として、過去に既にGビズIDを取得したはずだけれども、アクセスのための情報などが全く分からず大変お困りになったクライアント様がいらっしゃいました。
既にGビズIDを取得済みの方でも、実際に利用できるかを事前に確認しましょう。


補助金申請において最も重要な書類が「経営計画」と「補助事業計画」です。これらは、あなたの事業の現状や課題、補助金を活用してどのような成果を目指すのかを明確に示す資料です。

📄 提出データの作成方法

  • PDFベースの提出から、補助金事務局が用意した申請画面に入力するスタイルに変わりました。
  • 各画面のどの欄にどの内容を入力(コピーペースト)するかを事前に確認しておきましょう。

✍️ 作成のポイント

小規模事業者持続化補助金スケジュール解説

▶経営課題とその解決策を明確に記述する

▶補助事業の具体的な内容(設備導入、販促活動など)を記載

▶数値目標やスケジュールを盛り込むと説得力が増します

※補助金の専門家や商工会議所の支援を受けながら作成することで、採択率を高めることができます。


「事業支援計画書」は、商工会議所や商工会から交付される書類で、申請に必須です。これは、あなたの事業計画に対して第三者の支援機関が支援を行うことを証明するものです。

🏢 取得の流れ

  1. 経営計画書・補助事業計画書を商工会議所に提出
  2. 面談やヒアリングを受ける場合もあり
  3. 約1週間程度で交付される

⏰ 注意点

  • 交付申請の締切は、公募締切の約1週間前に設定されていることが多いです。
  • 例:第14回公募では、申請締切が12月12日 → 事業支援計画書の締切は12月5日
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当社からのアドバイス:
▶自分(自社)を担当する商工会・商工会議所を事前に確認する
小規模事業者持続化補助金では商工会・商工会議所に事業計画書等の事前確認を実施して頂くことが必須となっています。
なお、どこまでアドバイスをいただけるか、積極的に支援していただけるかについては、全国にある各地域の商工会・商工会議所の運営状況により全く異なります。事業支援計画書の作成依頼も含め、小規模事業者持続化補助金を申請することを決めた場合は早めにご自身のエリアを担当する商工会・商工会議所にコンタクトを取り状況を確認しましょう。


小規模事業者持続化補助金の申請には、これまでに紹介した計画書類に加えて、いくつかの補足書類が必要です。申請者の事業形態や申請枠によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

📑 基本的な必要書類一覧

  • 宣誓・同意書(全申請者共通)
  • 【法人】貸借対照表・損益計算書(直近1期分)、株主名簿(該当者のみ)
  • 【個人事業主】確定申告書(収支内訳書または青色申告決算書)
  • 【NPO法人】貸借対照表・活動計算書、法人税確定申告書、登記簿謄本など
  • 【該当者のみ】加点項目に関する証明書類(各種誓約書や証明書など)

🧾 申請枠ごとの追加書類(該当者のみ)

申請枠必要書類の例
賃金引上げ枠賃金引上げ枠誓約書
卒業枠卒業枠誓約書
創業枠創業支援証明書の写し
インボイス特例インボイス特例誓約書

これらの書類のフォーマットなどは、公式サイトの「申請方法」ページからダウンロード、又は確認が可能です。記入漏れや添付忘れがあると不備扱いになるため、提出前に必ずチェックリストで確認しましょう。


必要書類がすべて揃ったら、いよいよ申請です。小規模事業者持続化補助金の申請は、原則として「Jグランツ」という電子申請システムを利用します。

💻 電子申請の流れ

1)Jグランツ公式サイトにアクセス

2)GビズIDプライムアカウントでログイン

3)「小規模事業者持続化補助金」を検索

4)必要事項を入力し、書類をアップロード

5)内容を確認して送信

▶Jグランツの操作方法は、公式サイトに掲載されている「電子申請の手引き」で確認できます。初めての方は、事前に一通り目を通しておくと安心です。

📌 注意点

  • 締切当日はアクセス集中によりシステムが不安定になることがあります。余裕を持って2〜3日前には申請を完了させましょう。

申請が完了すると、事務局による審査が行われ、採択結果が通知されます。ここからは、補助金を実際に受け取るまでの流れを見ていきましょう。

7-1. 交付決定通知書の受領と補助事業の開始

採択された事業者には、交付申請を経て「交付決定通知書」が送付されます。この通知書を受け取るまでは、補助事業を開始してはいけません。

通知書の到着までは、交付申請から2〜6週間程度かかることがあります。通知書を受け取ったら、提出した事業計画に沿って補助事業をスタートしましょう。

補助事業の実施期間は、交付決定日から約6か月間です。この期間内に事業を完了させる必要があります。

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当社からのアドバイス:
▶この後の手続きをスムーズに行う為に各証明書の「日付」に注意

補助金の対象となる経費は、交付決定通知を受け取った後に発注・契約・支払いが行われたものに限られます。たとえば、交付決定前に物品を発注していた場合、その費用は補助対象外と判断されてしまいます。
この判断は、提出する「発注書の日付」によって行われます。つまり、発注のタイミングが交付決定の前か後かを証明するのは、書類に記載された日付となります。
このように、補助金申請後の各手続きでは、提出する証明書類の日付が正しく時系列に沿っているかどうかが、後日補助金事務局によって確認されます。書類作成の際は、内容だけでなく「日付」にも十分注意しましょう。

7-2. 実績報告書の提出

補助事業が完了したら、30日以内に「実績報告書」を提出します。報告書には、以下のような書類を添付します。

  • 実績報告書(様式あり)
  • 経費の支出証拠(見積書、請求書、領収書など)
  • 成果物の写真や資料(チラシ、Webサイトなど)

報告内容に基づいて、事務局が確定検査を行い、補助金額が最終決定されます。不備があると減額や交付取消の可能性もあるため、丁寧に準備しましょう。

7-3. 精算払請求と補助金の受取

確定通知書が届いたら、いよいよ補助金の請求です。通知書に記載された金額をもとに、精算払請求書を提出します。

請求から入金までは、通常1か月程度。補助金は指定口座に振り込まれます。

7-4. 事業効果等状況報告の提出

補助金を受け取った後も、1年後には「事業効果等状況報告書」の提出が必要です。これは、補助事業の成果や賃金引上げの実施状況などを報告するものです。

報告書の様式は公式サイトからダウンロードできます。電子申請を行った場合は、Jグランツを通じて提出します。


以下に掲載しているのは、以前弊社で作成した「小規模事業者持続化補助金」の全体スケジュール表です。日付は過去の公募回に基づくものですが、申請から補助金入金までの流れや各ステップにかかる期間は、現在の制度でも大きく変わっていません。

補助金申請の全体像をつかむための参考資料として、ぜひご活用ください。

1
2020年3月10日

公募開始
この公募期間前に自社が申請する予定のプランの事業計画書の作成、申請予定の設備等の見積もり、各地域の商工会議所への相談、GビスプライムIDの取得などを済ませて置くことをオススメします。

2
2020年3月31日
1日目受付最終日を1日目として起算した場合

受付締切
締め切り当日は申込が混みあう為に締切2日前には申請手続きを完了させる事をオススメします。

※公募開始から受付締切までの期間に下記を行います。
▼電子申請システムから補助金交付申請書を提出

3
2020年5月22日(通常受付締切から約1.5ヵ月)
45日目?

採択発表
公募締切から約1月程度で採択結果が通知されます。
事務局から採択決定通知書を送付された申請者は交付申請を行います。

4
2020年6月?
75日目?

交付決定通知書の受理
交付申請をした後、交付決定通知書を受理するまでに2週間から6週間程度かかります。(事務局の繁忙具合によるようです)

5
2020年6月?(補助事業実施可能期間は約半年
補助事業期間の開始時期:75日目?~期間終了時期:255日?

補助事業期間
交付決定通知書が届くと補助事業期間に入ります。
(つまり申請していた事業を始めても良いという事です。)
・事業を実施(開始)
※補助事業期間前に購入した経費は補助金対象外となりますのでご注意下さい。
※補助金申請予定の経費については、その後の手続きの際に必要になりますので、期間中の見積書・納品書・請求書・領収書・図面等書類は全て保存しておきましょう。

6
2021年1月10日(補助事業期間終了翌月の10日
270日目?

補助事業実績報告書提出期限
(補助事業完了報告・確定検査(交付額の確定))
実績報告書・支出内訳書・経費支出に係る証拠書類等について事務局の確定検査がなされ、最終的な補助金交付額が確定します。

※補助事業実績報告書提出期限までに支払い済みの領収書等すべての証拠書類の準備を整える必要がありますが、補助事業期間最終日から書類提出までの期間がとても短いので要注意です。

7
2021年2月中旬?
300日目?

補助金請求(補助金精算払請求)
確定通知書が届きます。
通知書に記載された額を申請者が事務局に対し請求します。

8
2021年3月中旬~下旬?
330日目?

入金

請求後1ヵ月程度で補助金が指定銀行口座に入金されます。

小規模事業者持続化補助金の入金スケジュールをご説明
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補助金の広場
いかがですか?思ったいたより時間がかかると思われる方のが大半ではないでしょうか。
結論としては、公募があってから実際に補助金の入金があるまでは約1年程度はみておく必要があるという事です。
なお、各ステップで必要となる日数は、皆さんの手続き状況により個別に前後する為、最終的に入金される時期はケースバイケースになります。
補助金で購入する物品に対する支払については、補助金が入金されるまで全て自社の資金でまかなう必要があります。そのため、必要に応じて、一時的に銀行から融資を受けるなど資金計画には余裕も持つ必要あります。

ここでは、小規模事業者持続化補助金の申請に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。初めて申請する方は、ぜひ参考にしてください。

Q1. GビズIDの取得にはどれくらい時間がかかりますか?

  1. 通常、申請から発行までに2〜3週間かかりますので、公募開始前に取得しておくのが理想です。

Q2. 商工会議所への相談は必須ですか?又、商工会へ入会する必要はありますか?

  1. はい。事業支援計画書の発行には、商工会議所または商工会との面談や書類提出が必要です。申請の信頼性を高めるためにも、早めに相談を始めましょう。なお、商工会・商工会議所への入会は必須ではありません。稀に入会を勧めてくる商工会・商工会議所もあるようですが、入会の必要性が無いと感じた場合は丁重にお断りしましょう。

Q3. 補助金はいつ入金されますか?

  1. 採択から実績報告、精算請求を経て、最終的な入金までには約10か月〜1年かかるのが一般的です。資金繰りには十分な余裕を持っておきましょう。

Q5. 採択されるためのポイントはありますか?

  1. 経営課題と補助事業の関連性を明確にし、数値目標や成果を具体的に記載することが重要です。また、専門家のアドバイスを受けることで、採択率を高めることができます。

補助金申請は、単に書類を提出するだけではなく、戦略的な準備と計画が求められます。ここでは、採択率を高めるための実践的なポイントを紹介します。

✅ ポイント1:スケジュール管理を徹底する

  • 各ステップに締切があるため、逆算して準備を進めることが重要です。
  • 特にGビズIDの取得や商工会議所との連携は、早めの行動がカギになります。

✅ ポイント2:計画書の質を高める

  • 経営課題と補助事業のつながりを明確にする
  • 数値目標や成果指標を盛り込む
  • 写真や図表を活用して視覚的に伝える

✅ ポイント3:専門家の支援を活用する

  • 商工会議所や中小企業診断士、補助金コンサルタントの支援を受けることで、書類の完成度が大きく向上します。

小規模事業者持続化補助金は、正しい手順と準備を踏めば、事業の成長に大きく貢献する制度です。この記事では、申請から補助金受取までのスケジュールを時系列で解説し、各ステップでやるべきことを明確にしました。

申請初心者の方は、まずはGビズIDの取得から始め、計画的に準備を進めていきましょう。採択後の流れも見据えて、資金繰りや報告書の準備も忘れずに。

さらに詳しく補助金の全体像を知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

👉 小規模事業者持続化補助金とは?制度の全体像と申請の基本を解説


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補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。