▶小規模事業者持続化補助金に初めて採択された事業者の方

▶採択後の流れや手続きに不安を感じている方

▶補助金の入金までのスケジュールや注意点を知りたい方

▶補助金申請支援を行う士業・コンサルタントの方


  1. 小規模事業者持続化補助金とは?
  2. 採択後の全体の流れ【図解】
  3. ステップ① 採択通知の確認
  4. ステップ② 交付決定通知の受領と注意点
  5. ステップ③ 補助事業の実施
  6. ステップ④ 実績報告書の作成と提出
  7. ステップ⑤ 補助金額の確定と確定通知書の受領
  8. ステップ⑥ 精算払請求書の提出と補助金の入金
  9. 採択後に注意すべき5つのポイント
  10. まとめ

小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の支援を受けながら、販路開拓や業務効率化などの取り組みに対して最大50万円〜200万円の補助が受けられる制度です。


こちらは小規模事業者持続化補助金が採択された後、補助事業が実施され、終了し、実績報告書を提出し、補助金額が確定し、入金され、約1年後に報告をあげるまでの全体の流れを表にしたものです。
まずはこちらの表で手続きの全体像をご確認下さい。


小規模事業者持続化補助金の採択結果は、公式サイトや電子申請システム「Jグランツ」で確認することができます。通常、申請締切からおよそ1.5〜2ヶ月後に結果が発表されます。無事に採択された場合は、次のステップとして「交付決定通知書」が届くのを待つこととなります。


採択された後、おおむね1週間以内に「交付決定通知書」が送付されます。この通知書が届くまでは、補助事業にかかる支出を行わないよう注意が必要です。というのも、交付決定日より前に発生した費用は補助対象外となってしまうためです。また、通知書の内容に不備がある場合は、事務局から修正依頼が届くこともありますので、受領後は内容をしっかり確認しましょう。


補助金の採択後、「交付決定通知書」が届いたら、いよいよ補助事業の実施フェーズに入ります。このステップは、補助金を受け取るための最も重要なプロセスであり、ルールに沿って正確に進めることが求められます

📌 補助事業の実施期間とは?

補助事業の実施期間は、「交付決定通知書」に記載されている日付に基づいて定められます。開始日は、通知書に明記された「交付決定日」以降となり、それ以前の支出は補助対象外です。そして、終了日は同じく通知書に記載された「補助事業実施期限」までとなります。この期間内に事業を完了させることが求められます。なお、補助事業実施期限より前に事業が完了した場合は、これ以降の手続きを前倒しで実施することをオススメします。全ての手続きが早く完了するほど、補助金が入金される入金日が早まることとなります。

補助金の広場

よくある失敗例
交付決定日前に発注・契約・支払い・納品された経費は補助対象外です。
つまり、補助金で購入したい対象物(機器など)の発注時期によっては補助金がもらえません!要注意です。

🛠 補助事業でできること(例)

補助対象となる事業内容は、主に以下のような販路開拓や業務効率化に関する取り組みです:

分類具体例
広報費チラシ・パンフレット作成、新聞・雑誌広告、Web広告、SNS広告など
ウェブサイト関連費ECサイト構築、既存サイトのリニューアル、SEO対策など
展示会等出展費出展料、装飾費、交通費、宿泊費など
機械装置等費POSレジ、業務用冷蔵庫、製造機械、業務効率化ツールなど
外注費デザイン制作、動画編集、翻訳、コンサルティングなど
委託費市場調査、業務改善支援、IT導入支援など
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クレジットカード払いは条件付きで可
【重要】制度上、クレジットカードが認められる場合がありますが、補助対象とする為の補助金事務局とのやり取り等を勘案すると【事実上クレジットカード払いは不可】とお考え下さい。

💡 補助事業実施中のポイント

補助事業を実施する際には、いくつかの重要なルールと注意点があります。まず、発注から支払いまでの手順は「発注 → 納品 → 支払い」の順序を守ることが原則です。この流れを崩すと補助対象外となる可能性があるため、注意が必要です。また、領収書や納品書、振込明細などの証拠書類は、後の実績報告に必要となるため、必ず保管しておきましょう。

支払い方法については、「銀行振込」が原則とされています。現金払い、小切手、手形などは原則として認められていませんので、事前に確認しておくことが大切です。

さらに、事業内容に変更が生じた場合には、「変更承認申請」が必要です。たとえば、広告媒体の変更や設備の機種変更、スケジュールの延長などが該当します。無断で変更を行うと、補助金が交付されないリスクがあるため、必ず事前に申請を行いましょう。

そして、補助事業の実施中は、商工会や商工会議所との連携も欠かせません。定期的に進捗状況を報告したり、必要に応じて相談したりすることで、スムーズな事業運営につながります。

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「伴走支援型補助金」であるため、形式上は支援機関との連携が前提となっていますが、実際は無償支援に前向きな商工会や商工会議所はほとんどありません。その為、現実は申請者ご自身で補助事業手続きにミスがないよう注意しながら事業を進めていくことになります。

📷 証拠書類の例

書類名用途
見積書・発注書発注内容の証明
納品書・請求書納品・請求の証明
領収書・振込明細支払いの証明
写真(ビフォー・アフター)実施内容の視覚的証明
チラシ・Web広告のスクリーンショット広報活動の証明
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📂 これらの書類は、実績報告書提出時に必要です。整理して保管しておきましょう。

🗓 補助事業のスケジュール管理

補助事業の実施期間は、通常、交付決定日からおよそ6〜7ヶ月間とされています。この期間内に事業を完了させることが求められます。実施期間が終了した後は、30日以内、もしくは事務局が定める最終提出期限までに「実績報告書」を提出しなければなりません。提出が遅れると補助金の交付に影響が出る可能性があるため、スケジュール管理には十分注意しましょう。

🚫 よくある失敗例

失敗例補足
交付決定前に発注してしまった補助対象外になる可能性大
現金で支払ってしまった原則NG、証拠不十分で不交付の恐れ
書類を紛失した実績報告が不備となり補助金が減額・不交付に
無断で事業内容を変更した変更承認申請が必要。無断変更はNG

🧭 補助事業実施のチェックリスト

  • [  ] 交付決定日を確認した
  • [  ] 発注・納品・支払いの順序を守っている
  • [  ] 支払いは銀行振込で行っている
  • [  ] 証拠書類をすべて保管している
  • [  ] 変更がある場合は事前に補助金事務局へ相談・申請している
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補助事業の実施は、補助金を受け取るための「本番」とも言える重要なステップです。
補助金で購入した機器の設置前と後の写真を証拠書類として用意する必要があるなど、実績報告時に必須となる書類や証拠の中には、後から用意が出来ないものが多々あります。ご注意下さい。


補助事業がすべて完了したら、次に行うべき重要な手続きが「実績報告書」の提出です。この報告書は、補助金を受け取るための最終関門とも言えるもので、事業の成果や支出内容を正確に記録・報告する必要があります。

📅 提出期限と基本ルール

実績報告書の提出期限は、「補助事業終了日から30日以内」または「事務局が定める最終提出期限」のいずれか早い日となっています。期限を過ぎると補助金の交付に支障が出る可能性があるため、スケジュールには十分注意しましょう。

提出方法については、Jグランツで申請した場合は、電子申請システム上で報告書をアップロードする形になります。必要書類の形式や添付ファイルの指定など、細かなルールもあるため、事前にマニュアルを確認しておくと安心です。

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提出しないといつまで経っても補助金は支払われません!

📄 実績報告書に必要な書類一覧

書類名内容備考
✅ 実績報告書(様式第8)補助事業の内容・成果を記載事業の目的、実施内容、成果、今後の展望など
✅ 経費支出管理表・支出内訳表(様式第8別紙3)経費の詳細を記載支出日、金額、支払先、支払方法など
✅ 証拠書類一式経費の裏付け資料見積書、発注書、納品書、請求書、領収書、振込明細など
✅ 成果物の証明実施内容の証明チラシ、Web画面キャプチャ、写真など
該当者のみ収益納付報告書(様式第8別紙4)補助事業で収益が発生した場合
該当者のみ取得財産等管理明細表(様式第11-2)単価50万円以上の設備を購入した場合

注:各様式や様式番号は、採択回ごとに異なるため、必ず公式サイトから該当回の様式をダウンロードしてください。

🧾 証拠書類の具体例

経費区分必要な証拠書類
機械装置等費見積書、発注書、納品書、請求書、領収書、振込明細、設置写真
広報費チラシ現物、配布先リスト、Web広告の画面キャプチャ
外注費契約書、納品物、請求書、支払証明
展示会出展費出展要領、写真、出張報告書、交通費・宿泊費の領収書

🖋 実績報告書の書き方ポイント

実績報告書を作成する際には、下記の重要なポイントを押さえておくことが大切です。

まずは「事業の目的・背景」について明確に記述しましょう。なぜこの事業を実施したのか、どのような課題を解決しようとしたのかを、補助金の趣旨と照らし合わせながら説明することが求められます。

次に、「実施内容の詳細」を具体的に記載します。いつ、どこで、何を、どのように実施したのかを時系列で整理し、実施スケジュールや関係者の動きなども含めて記述すると、説得力が増します。

続いて、「成果と効果」については、事業によって得られた成果を具体的に示しましょう。売上の増加、顧客数の拡大、業務の効率化など、可能であれば数値的な根拠を添えると評価が高まります。

最後に、「今後の展望」として、補助事業をどのように発展・継続させていくのかを記述します。事業の将来性や地域・業界への波及効果なども盛り込むことで、より前向きな印象を与えることができます。

⚠️ 実績報告でよくあるミスと注意点

ミス結果
提出期限を過ぎた補助金が不交付になる可能性
書類の不備・不足審査が遅れ、入金が遅延
経費の証拠が不十分一部経費が不採択に
成果物の証明がない実施内容が認められない可能性

🧠 実績報告のコツ

実績報告をスムーズに進めるためには、経費ごとに「1セットの証拠書類」をそろえておくことが重要です。たとえば、見積書 → 発注書 → 納品書 → 請求書 → 領収書 → 振込明細といった一連の流れを、ひとつのセットとして整理しておくと、審査時に確認しやすくなります。
また、書類の順番やファイル名を統一しておくことで、事務局側のチェックもスムーズになり、確認漏れや誤解を防ぐことができます。

さらに、成果物については、写真やスクリーンショットなどを活用して「見える化」することが効果的です。例えば、補助金で購入した機器の設置前と設置後の様子を撮影するなど、客観的な証拠を添えることで、報告内容の信頼性が高まり、審査でも好印象を与えることができます。

✅ まとめ

実績報告書の提出は、補助金を受け取るための最重要ステップです。
「書類が多くて大変…」と感じるかもしれませんが、一つひとつ丁寧に準備すれば確実に通過できます


提出した実績報告書をもとに、事務局による審査が行われます。内容に問題がなければ、補助金の金額が正式に確定し、「確定通知書」が送付されます。通常、実績報告書の提出からおよそ1ヶ月程度で通知が届きますので、到着を待ちましょう。


確定通知書が届いたら、同封されている「精算払請求書」に必要事項を記入し、提出します。Jグランツを利用し、電子申請で手続きを行います。補助金の入金は、請求書の提出から約1~2ヶ月後が目安となります。


補助金の申請から受給までのプロセスでは、いくつかの重要な注意点があります。まず、交付決定前に発生した支出は補助対象外となるため、事業の開始タイミングには十分注意が必要です。また、支払い方法についても、現金・小切手・手形での支払いは原則として認められていません。

さらに、証拠書類に不備があると、補助金が交付されない可能性があります。提出期限を過ぎた場合も同様に、補助金を受け取れなくなるリスクがあるため、スケジュール管理は徹底しましょう。加えて、提出した書類は5年間の保存が義務付けられているため、適切に保管しておくことが求められます。

  1. 交付決定前の支出はNG
  2. 現金・小切手・手形での支払いは対象外
  3. 証拠書類の不備は補助金不交付の原因に
  4. 提出期限を過ぎると補助金がもらえない
  5. 書類は5年間保存が義務

小規模事業者持続化補助金は、採択された後も多くの手続きが必要です。
しかし、正しい知識と準備があれば、スムーズに補助金を受け取ることができます。

「採択されたら終わり」ではなく、「採択されてからが本番」です。
不安な方は、ぜひ補助金の広場をご活用ください。


補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。

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