2021年7月9日
2021年9月9日更新
こんにちは「補助金の広場」です。
2021年6月25日に補助金事務局が【第一回公募を振り返って「事業計画作成のアドバイス」】という動画を公開しました。
皆さんはもうご覧になりましたか?
この動画の中で中小企業庁の経営支援部長の方が、第一回目公募で提出された事業計画書の多くで、売上予測が適正になされていないという主旨の発言をされていました。
売上予測は事業計画の中でも大変重要な審査ポイントのはずですから、審査官が売上予測に説得力がないと判断した事業計画の多くは不採択になったと思われます。
しかしながら1つの新商品を販売開始するにあたって、事前にある一定の地域でテスト販売などを行いデータを収集する大手企業でもなければ、なかなか説得力のある売上予測を立てるのは困難ですよね。
あまり予算や時間をかけられない中小の事業者の方にとっては大変難しい課題ではないでしょうか。
そこで、今回は小規模で事業を運営されている方にも、ある程度公の機関が説得力のある数字だと判断する売上予測の立て方についてご説明します。
それではどうぞ。
記事内容を動画で知りたい方はこちらをどうぞ
基礎データの入手方法
事業計画における売上予測を作成する際に使用するデータは、取得するデータ元が出来るだけ目的とする新規事業の事業内容・事業環境・外部要因等が近しく、最新であるものが望ましいです。
その為、先に例としてあげたように、大手企業の場合は、新規事業の大きな失敗を避ける為、地域を小規模に限定した試験販売などを実施し、そのテストケースで十分なデータを取得した上で、分析を行い、その上で新規事業が成功するとの確信を持った時に初めて大々的に広告などを行ってサービス提供をスタートするなどの手法をとります。
この時、先の例にある小規模地域限定で取得したデータが、新規事業を立ち上げる際に最も欲しくなるデータと言えるでしょう。
しかし、ほとんどの中小企業・個人事業主はそのようなデータを取得ための試験的な施策を実施するのは難しいかと思います。
そこで、同じような事業を行っている同業種の平均データなどを参考にするのが一般的となります。
当サイトでは、いくつかの分析データ元を持っており、ご依頼の内容に応じて使用するデータを選択しますが、一般の方が一番使用しやすいデータとしては日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」を活用するのがよいのではないでしょうか。
日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査」へのリンクはこちら
上記の調査は決算データをもとに小企業の収益性や生産性などの指標値を集計したもので、業種ごとに隔年で実施しているのでとても使いやすいです。
尚、上記データでは不足と感じる方は、公共の図書館に出向いてみて下さい。各業界ごとの調査データを集計している書物はいくつかあります。
是非そちらもご活用下さい。
売上予測の方法
上記で基礎データの取得先をご紹介しましたが、次に基礎データを使った売上予測の算出方法をご説明します。
主な算出方法としては、各業種の特性を考慮して、最も売上に影響を及ぼす要素を基礎に売上を予測します。
そこで、下記のような計算式を用いて、売上予測を立てましょう。
労働集約的業種 (売上に影響を及ぼす主たる要素が従業員数の業種) | ○例:自動車販売業、化粧品販売業、家庭教師派遣業など ○計算式:従業員1名当たりの売上高×従業員数 ○注:従業者一人当たりの売上高には小企業の経営指標調査の「中央値」を用いる |
設備の生産能力が売上に大きな影響を及ぼす業種 | ○例:印刷業、部品製造業など ○計算式:設備1台当たりの生産能力×設備数 ○注:生産設備1台あたりの生産能力は製造メーカーなどからヒヤリングする |
サービス業関連業種 | ○例:美容業、理髪業、飲食店営業など ○計算式:客単価×設備単位数(席数)×回転数 ○注:出店地域の料金調査などを実施する。 |
小売関連業種 (店舗の売場面積が販売に大きな影響を及ぼす業種) | ○例:コンビニエンスストア、スーパー、ホームセンターなど ○計算式:1坪当たりの売上高×売り場面積 ○注:1坪当たりの売上高には小企業の経営指標調査の「中央値」を用いる |
終わりに
いかがでしたでしょうか。
補助金申請書作成の際に社内に活用出来るデータが無く外部データを使用する場合は、補助金の審査官に売上予測などの記載内容を信頼してもらえるように、出来るだけ権威性のある調査資料を出典元のデータとして活用することをオススメします。
具体的には、経済産業省や中小企業庁、日本政策金融公庫などの調査資料から引用したデータを用いて売上予測を立てると、事業計画により客観性が加わりますよ。
今回は以上です。