2021年7月5日現在

こんにちは! 補助金の広場です。

今回は事業再構築補助金の申請をご検討になっていらっしゃる方からよく質問される「製品等の新規性要件」についてご説明します。

まず、事務局による説明ですが、下記の通りとなっています。

補助金新規性要件説明1
事業再構築指針の手引き(1.3版:令和3年6月4日版)5ページ目
事業再構築指針の手引き(1.3版:令和3年6月4日版)6ページ目

上の説明の通り下記3点が製品等の新規性要件と定義されています。

1.過去に製造等した実績がないこと

2.製造等に用いる主要な設備を変更すること

3.定量的に性能又は効能が異なること(定量的に計測できる場合に限る)

この説明シートには注意書きとして、「新規性とは、事業再構築に取り組む中小企業等自身にとっての新規性であり、世の中における新規性(日本初・世界初)ではありません。」と記載がありますので、今までに存在しないものを新たに作り出さなくても新規性のある製品といえそうです。

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補助金の広場
そこで、この定義をより理解をする為に、事業再構築補助金事務局の公式サイトの「よくあるご質問」の中にある「新分野展開、事業転換、業種転換について」の中から製品等の新規性について解説をしている質問例を参考に事務局の定義する「製品等の新規性」についてご説明したいと思います。
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動画での説明をご希望の方はこちらをどうぞ

事業再構築補助金の新規性要件を簡単解説
Q
質問例1
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「①過去に製造等した実績がないこと」や「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」、製品等の新規性要件を満たさない場合の例として記載のある、「既存の製品等に容易な改変を加えた新製品等を製造等する場合」や「単純に組み合わせただけの新製品等を製造等する場合」等について、明確な基準はあるのか。
A

事務局からの回答
一律に基準を設けることとはしておりません。なお、「①過去に製造等した実績がないこと」については、判断に迷う場合は5年程度を一つの目安としてください。また、例えば、試作のみでこれまでに販売や売上実績がないケース、テストマーケティングなど実証的に行ったことはあるものの継続的な売上には至っていないケースであって、更なる追加の改善等を通じて事業再構築を図る場合や、従来販売していた製品の改善を通じて事業再構築を図る場合は「過去に製造等した実績がない場合」に含まれます。

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補助金の広場
【簡単解説】
事務局の回答を読むと
1.5年以上製造実績がない製品は新規性有と考えられる。
2.試作品も新規性有と考えられる。
3.従来品でも改善をしていれば新規性有の可能性がある。

上記が大まかな定義ですが、審査判断は各申請内容によってケースバイケースで判断するという事ですね。
Q
質問例2
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、「設備」とは何を指すか。
A

事務局からの回答
設備、装置、プログラム(データを含む。)、施設等を指します。

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補助金の広場
【簡単解説】
設備の定義を考える際、飲食店が日本料理店から焼肉店に変更するために、店内設備を既存の店舗と入れ替えるのはイメージしやすいですが、事務局からの回答として「プログラム(データを含む)」と定義していることから、事務局は「設備」の定義を多少大きくとらえていると考えれますね。
Q
質問例3
製造業において、従来より品質が優れた(精度が高い、耐熱温度が高い、重量が軽い等)製品を製造する場合には、製品等の新規性要件を満たすといえるのか。
A

事務局からの回答
一概にお答えすることはできませんが、基本的には、製品等の新規性要件を満たし得ると考えられます。ただし、①過去に製造等した実績がないこと、②製造等に用いる主要な設備を変更すること、③定量的に性能又は効能が異なることを事業計画においてお示しいただくことが必要となります。

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補助金の広場
【簡単解説】
この事務局の回答を見ると、従来品より優れた製品であってもその性能や精度等の向上・改善の程度によっては新規性があるとまでは言えないとの見解のようですね。
【ポイント】
審査を行うのは御社業界についてそれほど見識の無い方の可能性が高いです。自身が身を置く業界では特段の製品性能や精度等の向上・改善ではない新規性で補助金を獲得したい場合でも、上手にアピールすることで補助申請の採択につながる可能性はあります。諦めずに申請しましょう。
Q
質問例4
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、製造等を行うに際し、既存の設備も一部用いることは問題ないか。
A

事務局からの回答
問題ありません。

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補助金の広場
【簡単解説】
当サイトの私見ですが、この補助金は日本の産業構造を再構築し高度化させたい行政の考えが根底にある為、事務局は当初、既存の設備を使って生産出来る製品を製造するのであれば、大きな産業構造の変換に寄与しないため、そのプランはこの補助金の対象外としたいと考えていたようです。
しかし、一般申請者からの強い要望から、多少であれば既存の設備を一部用いて製造しても新規性があるとしましょうと、途中から要件を緩和したようです。
ですが、根底にあるのは「今までとは全く異なるビジネスに挑戦する人・企業を応援し日本の産業構造を高度化させよう」という考えのため、新製品を製造するに際し既存設備利用が大半を占める場合は、その事業プランは補助金対象外となる可能性が高くなると思われます。
Q
質問例5
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、新たに導入した設備は新製品等の製造等にしか用いてはならず、既存製品等の製造等には用いてはならないのか。
A

事務局からの回答
事業計画において、新製品等の製造等のみならず、既存製品等の製造等にも用いることをお示しいただいていれば可能です。ただし、既存設備で新製品等を製造等できるにもかかわらず、単に設備を買い替えるためだけに本補助金を利用することはできません。

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補助金の広場
【簡単解説】
この補助金のベースとなっていると思われる「ものづくり補助金」でも同様ですが、「単に設備を買い替えるためだけに本補助金を利用すること」、つまり、現在使用している設備が古くなったので同じ設備を買替・入替したいがために申請している事業プランは本補助金の対象となりません。
その為、申請書では決して「交換」「老朽化による交換」といった表現は使わないようにしましょう。
Q
質問例6
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、既存の製品等に関しては、設備を変更する必要はないか。
A

事務局からの回答
必要ありません。

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補助金の広場
【簡単解説】
既存の設備をすべて撤去する必要はないということですね。
Q
質問例7
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、必ず当該設備に係る投資を補助対象経費として計上することは必要か。
A

事務局からの回答
主要な設備を変更していれば、当該設備にかかる費用について、必ずしも補助対象経費に含めることは必要ありません。

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補助金の広場
【簡単解説】
こちらについては事務局の回答によって経費処理の幅が出来たと考えるべきでしょう。
Q
質問例8
製品の新規性要件の「③定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る。)」は、製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限っては、定量的に性能又は効能が異なることを示し、それ以外の場合には、定量的に計測することが難しいことを示すことでよいか。また、計測する方法に指定はあるか。
A

事務局からの回答
問題ありません。また、計測方法については、一律の基準はありませんので、自社の製品等の性能や効能を計測するのに最も適切な指標を用いてお示しください。

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補助金の広場
【簡単解説】
当サイトでは、申請を採択される為に事業計画で説明する事業における問題点やその解決方法、その効果を出来る限り数値化して示すことをオススメしています。定量的に計測することが難しい事業内容でも出来うるかぎり数値による説明を行いましょう。
Q
質問例9
製品等の新規性要件の申請に当たってお示しいただく事項として記載のある「②製造等に用いる主要な設備を変更すること」について、ファブレス経営の場合には、自社で設備を保有しないため、一律に対象外となるのか。

ファブレス経営とは、工場などの生産施設・設備を自社では持たず、生産を外部企業に委託する経営を指します。 それによりリソースを企画・開発・デザイン・マーケティングなど「高付加価値分野」に特化させることができるので、資本力のあまりない企業でも高いブランド力を発揮できることが特徴です。
A

事務局からの回答
既存製品と比較して、委託先において、製造等に用いる主要な設備が変更となっていれば対象となり得ます。

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補助金の広場
【簡単解説】
自社内の設備変更ではないが、事業再構築補助金の申請を行おうとする事業者にとっては、この事務局の回答例は助かりますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ポイントは事務局からの回答として「一律に基準を設けることはしていない」という考えが多く使われているということです。

つまり、新規性要件だけを見ると要件を満たさない可能性がある申請でも事業計画全体を考慮すると補助対象として採択する場合があるということです。

この製品等の新規性要件でお困りの方も是非諦めずに、他の視点から事業の有効性などをアピールして採択されるような計画書に仕上げて下さい。

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