2025年度も、経済産業省は日本の産業競争力を高めるため、さまざまな補助金制度を展開しています。中小企業から大企業まで、事業規模や経営課題に応じた支援が用意されており、適切な補助金を選ぶことで、事業の成長スピードを大きく加速させることが可能です。

この記事では、経済産業省が主管する主な補助金の概要と、それぞれの補助金がどのような事業規模・経営課題に対応しているかをわかりやすく解説します。


出典元 経済産業省 ミラサポプラス https://mirasapo-plus.go.jp/subsidy/

経済産業省の補助金は、単なる資金支援ではなく、企業の成長戦略を後押しする「政策ツール」として位置づけられています。こちらの表によれば2025年度の補助金制度は、以下の4つの経営課題に対応する形で設計されています:

🧭4つの経営課題とは?

  • 売上拡大
  • 高付加価値化
  • 省力化・デジタル化
  • 新事業挑戦

これらの課題に対して、企業が取り組む投資や事業計画に対し、補助金が投入される仕組みです。


🧭事業規模別の補助金ランクとは?

補助金の対象となる事業は、売上規模と投資規模によって以下の4つのランクに分類されています:

ランク売上規模の目安投資規模の目安
ランク1100億円以上10億円以上
ランク210億円以上〜100億円以下1億円以上〜10億円以下
ランク3数千万円以上〜10億円以下5千万円以上〜1億円以下
ランク4数千万円程度数百万円以上〜5千万円以下

この分類により、企業は自社の事業規模に応じた補助金を選定しやすくなっています。


以下に、2025年度の主要補助金とその対象事業の概要を紹介します。

中堅・中小成長投資補助金

売上100億円以上を目指す企業向け。10億円以上の設備投資など、大規模な成長戦略を支援します。

成長加速化補助金

売上10億円以上を目指す中堅企業向け。新市場への展開や製品開発など、成長の加速を目的とした投資を支援。

事業承継・M&A補助金

事業承継やM&Aを通じて企業価値を高める取り組みに対して支援。中小企業の持続的成長を促進します。

ものづくり補助金

製造業を中心に、設備投資や技術革新を支援。高付加価値化や生産性向上を目的とした事業に適しています。

省力化投資補助金

人手不足や業務効率化に対応するための省力化・自動化設備の導入を支援。デジタル化の推進にも有効です。

新事業進出補助金

新分野への挑戦を支援する補助金。既存事業とは異なる領域への進出を目指す企業に適しています。

IT導入補助金

業務効率化やDX推進のためのITツール導入を支援。小規模事業者から中堅企業まで幅広く活用可能です。

小規模事業者持続化補助金

商店や個人事業主など、小規模事業者の販路開拓や経営改善を支援。比較的少額の投資でも申請可能です。


補助金の採択を目指すには、経済産業省の補助金制度全体を理解した上で、その主旨に沿った事業計画書の作成が極めて重要です。特に以下の点を意識しましょう:

  • 補助事業終了後(3〜5年後)に、売上規模が補助金ランクの目安に達する事業計画か
  • 補助金によって解決したい経営課題が、経産省の主旨に沿っており明確であるか
  • 投資内容が具体的かつ実現可能であるか
補助金の広場

当社からのアドバイス
⚠️補助金申請は“金額ありき”ではなく“実現可能性”が鍵
弊社にご相談いただく企業様の中には、「とにかく1円でも多く補助金を獲得したい」と強く希望される経営者の方もいらっしゃいます。お気持ちはよく理解できます。しかし、補助金制度は“高額な枠に申し込めば得をする”という単純な仕組みではありません。
例えば、月商80万円・年商960万円の企業が、ランク1(売上100億円以上を目指す企業向け)の補助金を申請するケースを考えてみましょう。補助金の審査では、事業計画の実現可能性が厳しく問われます。3年から5年という補助事業期間内に、年商100億円を達成する計画を立てることは、現実的に見てほぼ不可能です。
そのため、弊社では「とにかく満額を申請したい」というご要望にはお応えできません。補助金は、事業規模や成長ステージに応じて適切な制度を選び、実現可能な計画をもとに申請することが何より重要です。
補助金は“夢を語る場”ではなく、“実行力を示す場”です。採択されるためには、補助金の目的と自社の事業計画がしっかりと噛み合っている必要があります。特にランク1の補助金を申請する場合は、売上100億円の達成可能性が高いと評価されなければ、採択は極めて困難です。


補助金は「もらえるもの」ではなく、「選ばれるもの」です。申請前には以下の準備が不可欠です:

  • 自社の経営課題と補助金の目的が一致しているかを確認
  • 投資計画の具体性と実現性を明確にする
  • 補助金の公募要領を熟読し、必要書類を正確に準備する

また、補助金の申請には期限があるため、情報収集とスケジュール管理も重要です。


2025年度の経済産業省補助金は、企業の成長ステージや経営課題に応じた多様な支援策が用意されています。自社の事業規模や課題に合った補助金を選び、しっかりとした事業計画を立てることで、補助金は強力な成長エンジンとなります。

補助金の広場では、最新の補助金情報を随時更新しています。ぜひ活用して、補助金申請の第一歩を踏み出しましょう。


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補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。