• 補助金活用による資金調達や経営支援を必要とするクライアントを持つ中小企業診断士・税理士・行政書士・コンサルタントの方
  • 業種・目的に応じた最適な補助金を探している営業職や経営企画担当者の方
  • 補助金制度を活用して自社の提案力・信頼性を高めたい支援事業者の皆さま

クライアントに対する支援の質を高めるには、的確な補助金の提案が不可欠です。本記事では、2025年に公募が確認されている補助金を中心に、業種別・目的別に整理した最新情報(2025年上旬現在)をお届けします。

補助金は毎年数千種類が公募されますが、対象となる「業種」や「事業内容」によって適用可否が異なります。支援者の立場としては、クライアントの属する業種や直面している経営課題を的確に把握し、ニーズに合致した補助金を提案することが大切です。

ここからは、特に活用頻度が高い「製造業」「飲食業・小売業」「建設・工事業」「サービス業」向けに、2025年に公募されている主要な補助金を紹介します。

製造業は「設備投資」や「DX」「新事業創出」など、補助金対象の取り組みが多い分野です。

● ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)

対象:中小製造業者を中心とした事業者

内容:革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化など

補助額:最大4,000万円

補助率:中小企業1/2、小規模企業・再生2/3

公募状況:第20次公募(2025年4月25日~7月25日)

この補助金は提案書の質が問われるため、事業の革新性・経済的効果・地域波及性などを具体的に記述することが採択の鍵です。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/monohojyo

● 中小企業省力化投資補助金

  • 対象:製造現場の自動化・無人化設備導入を検討している企業
  • 内容:省力化製品(FA設備、ロボット等)等の導入支援
  • 補助額:最大1,500万円
  • 補助率:1/2(条件により異なる)
  • 公募状況:随時受付中(2025年6月25日現在)

● 新事業進出補助金

  • 対象:新分野進出や高付加価値事業の開拓を目指す企業
  • 補助額:最大9,000万円
  • 補助率:1/2
  • 公募状況:第1回公募中(~7月10日)

製造業が異業種に展開する場合、業態転換や商品再構築といった視点を明確にすることが大切です。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/New-business-venture-subsidy

飲食業や小売業は、来店客数や単価に直接影響を与える「販路開拓」「IT化」「設備投資」といったテーマで多くの補助金活用が可能です。以下、2025年に公募が確認されている主要補助金をご紹介します。

● 小規模事業者持続化補助金

  • 対象:従業員数が「商業・サービス業(宿泊業、娯楽業を除く)」の場合5人以下、 製造業またはそれ以外の業種の場合20人以下である事業者
  • 補助額:最大250万円(赤字企業は最大3/4補助)
  • 目的:広告宣伝費、WEB制作、店舗改装、設備導入などの販路開拓
  • 公募状況:第17回公募締切 2025年6月13日

この補助金は、小規模で地域密着型のビジネスにとって非常に汎用性が高く、提案時には「販促の明確な目的」と「補助対象経費との関連性」が重要になります。
【重要】当社の経験上、補助金制度の目的と合致したビジネスプランを申請書に記載しなければ採択は困難です。本補助金の主たる目的は「販売促進」です。ご注意下さい。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/small-business-subsidy-textbook

● IT導入補助金

  • 対象:POSレジ・セルフオーダー端末導入などを検討している小売・飲食事業者
  • 補助額:最大450万円
  • 補助率:最大4/5(インボイス対応の場合)
  • 公募状況:第2次締切 2025年6月16日

近年、キャッシュレス対応や業務効率化への需要が高まっており、POSシステムや予約台帳システムなどへの需要が増加しています。IT導入補助金は、機器やソフトの「登録事業者」を通して申請する必要がある点に注意が必要です。
【注意】本補助金は基本的にメーカーや販売代理店が申請者の申請手続きをご支援をします。その為、弊社へIT導入補助金の申請支援をご相談頂きましても、我々ではご支援が難しいのでご注意下さい。

● 中小企業省力化投資補助金(飲食店向け機器:券売機、調理ロボット等)

  • 補助額:最大1,500万円
  • 補助率:条件により最大2/3
  • ポイント:省力化製品等の導入支援(券売機、自動配膳ロボット、調理支援ロボットなど)

提案時には、「なぜその設備が省人化・生産性向上に貢献するのか」を定量的に説明できるようにしておくと、経営層からの理解も得られやすくなります。
【重要】制度公開当初不評だった「カタログ型」以外に、途中から補助金事務局が公開しているカタログに掲載されていない製品の購入にも当補助金を利用可能な「一般型」が利用可能です。ご注意下さい。

人手不足や現場の安全性向上、業務効率化が課題となっている建設業界でも補助金活用の機会は広がっています。

● ものづくり補助金

  • 対象:施工管理のIT化・機械設備の刷新など
  • 補助額:最大4,000万円
  • 補助率:最大2/3
  • 備考:「施工内容の独自性」「人手削減への貢献度」が評価されやすい

建設業は革新性という面でアピールが難しいケースもありますが、「熟練技能の伝承」や「DX化の推進」という観点で実効性のある提案が期待されます。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/monohojyo

● 中小企業省力化投資補助金

  • 対象:測量ドローン、建設用自動化装置などの導入
  • 補助額:最大1億円(スケールの大きい案件にも対応)
  • 補助率:最大2/3
  • 公募状況:第2回公募:2025年4月25日〜5月30日

比較的大規模な設備更新に対応しており、自治体との共同プロジェクトや、大規模現場での省力化・安全性向上策として有効です。

サービス業では、業務改善・顧客体験の向上・DX化が課題となるケースが多く、幅広い補助金施策が該当します。

● ものづくり補助金

  • 対象:美容・教育・医療・士業・観光業などのサービス業全般
  • 補助内容:サービス提供体制の革新、受付や予約システム、事務処理の自動化 など
  • 補助額:最大4,000万円
  • 補助率:最大2/3
  • 公募状況:第20次公募(2025年4月25日〜7月25日)

弊社担当からのアドバイス:申請の際は「人手不足対策としての自動化」「高付加価値サービスへの転換」といった文脈での提案が有効です。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/monohojyo

● IT導入補助金

  • 対象:業種問わず、バックオフィスや顧客管理業務のIT化を検討している企業
  • 補助内容:会計・勤怠管理・予約・CRMシステムなどの導入支援
  • 補助額:最大450万円
  • 補助率:通常3/4、特定要件で4/5
  • 公募状況:第2次締切:2025年6月16日

この制度は、IT導入支援事業者の選定と事前準備が重要なポイントとなります。

● 小規模事業者持続化補助金

対象:サービス業における個人事業主や法人

補助内容:ホームページ制作、広告、SNS運用、チラシ印刷費など

補助額:最大250万円(特例枠あり)

補助率:2/3または3/4(条件により)

公募状況:第17回締切:2025年6月13日

飲食店 画像

弊社担当からのアドバイス:地域密着型ビジネスではとくに「地域経済への貢献度」「顧客獲得戦略」が提案書の評価を左右します。

更に詳しい内容はこちらから
→ https://course.hojyokin-hiroba.com/small-business-subsidy-textbook

ここでは、業種を問わず、目的や課題別に分類できる補助金を取り上げます。クライアントの経営戦略や方針と合致する施策を見極めることが、説得力ある提案のカギです。

IT化・業務効率化はすべての業界で共通の経営課題です。導入のハードルを下げる補助金を効果的に活用しましょう。

● IT導入補助金(通常枠・インボイス枠)

  • 主な対象経費:クラウドサービス、顧客管理システム、POSレジなど
  • 活用例:来店分析システム、メルマガ自動配信、サブスク管理機能
  • 導入のポイント:事業計画との整合性、定量目標の明示、業務フローの可視化

提案時には、「IT導入によって何がどう改善されるのか」というストーリー設計が大切です。

エネルギーコストの上昇や環境対応の文脈から、省エネ設備や省力化設備導入に対する支援が増えています。

● 中小企業省力化投資補助金(一般型・カタログ型)

  • 対象分野:製造・飲食・小売・建設業など
  • 活用設備:自動搬送装置、省力化ロボット、AIカメラ、券売機、無人レジ
  • 導入のコツ:対象設備の「カタログ登録済み」であるかの確認
  • 申請の注意点:事業所ごとの導入効果や作業時間削減率の明確化

補助金採択の傾向としては、「単なる新機器導入」ではなく、業務の構造的変化や波及効果を訴求した提案が通りやすい傾向にあります。

  • 補助金ごとの対象要件・対象経費・期限を正確に伝える
  • 申請時や補助金獲得後の注意点なども含め、申請初心者が知っておくべき情報を丁寧に説明・共有する
  • 採択実績や他社の事例を添えることで信頼性を高める
  • 「補助金ありき」ではなく、経営課題の解決手段として位置づける

補助金は提案者の知識や情報量により、その効果や活用可能性に大きな差が生まれます。常に最新の制度情報にアンテナを張ることが、専門性の証となります。

Q1. 補助金申請は誰でもできますか?
A. それぞれの補助金に定められた対象要件(業種、規模、内容など)を満たす必要があります。
私の経験上、全国規模の有名な補助金の場合、申請者の約1割が対象要件など基本的な申請条件をクリアしていないために不採択となっている印象です。まずは、申請事業者が申請可能かを公募要領でよくご確認下さい。

Q2. 補助金はいつ振り込まれるのですか?
A. 申請〜交付決定〜実施〜実績報告のフローを経て、通常は申請から1~1.5年程度での入金が一般的です。

Q3. 採択されるか不安です。何を準備すれば良いですか?
A. 明確な事業計画、売上見込、社会的意義などをしっかり盛り込んだ申請書を用意することが重要です。

  • 各省庁・自治体の公式サイトを定期チェックする(例:経産省、中小企業庁)
  • 行政機関等支援機関のメールマガジンなども活用
  • 補助金専門のコンサルタント・士業との連携によりタイムリーな提案体制を構築
  • 大型の設備投資を行う際は、初期計画の段階から補助金制度や利用可能時期に関する情報収集を開始する
補助金の広場

【重要】毎年数千と言われる補助金制度が募集しています
全国規模から各都道府県、民間の事業団体など様々な組織が補助金制度で事業支援を行っています。今回こちらで公開した情報は「ほんの一握りの補助金紹介」であることを念頭に補助金制度をご活用なさって下さい。

補助金はあくまで「戦略を加速させるための資源」です。業種ごと、目的ごとに最適な制度を選定し、クライアントの成長に寄与する支援提案を行うことで、コンサルタントや支援者としての存在価値をさらに高めることができます。

2025年も多くの補助金が公募され、事業者を取り巻く経営環境は大きく変化しています。ぜひ本記事を参考に、的確で実践的な補助金提案を展開していただければ幸いです。

補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。

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