1. 決算公告とは?企業が公開すべき理由
決算公告とは、企業が自社の財務状況を外部に向けて公表することです。会社法では、株式会社に対して決算公告の義務が定められており、財務の透明性を確保するために重要な役割を果たします。
公告を行うことで、取引先や株主、金融機関などの利害関係者に対して企業の健全性を示すことができ、信頼性の向上につながります。

Q.株式会社は決算情報を公開しないといけないの?
A.株式会社は決算情報の一部を公開する義務があります。(会社法)
▼但し、下記の現状がありますので最後までご一読下さい。▼
2. 決算公告の義務:すべての株式会社が対象
会社法第440条1項により、非上場企業を含むすべての株式会社は、貸借対照表(大会社は損益計算書も含む)を公告する義務があります。
ただし、以下のような例外も存在します:
- 有価証券報告書を提出している会社(≒上場企業)
- インターネット上で計算書類を開示している会社
- 特例有限会社
これらに該当しない限り、公告義務は免除されません。
3. 公開しないとどうなる?会社法に基づく罰則とリスク
決算公告を怠った場合、会社法第976条2号により「100万円以下の過料」が科される可能性があります。さらに、不正な公告によって第三者に損害を与えた場合には、会社や役員が損害賠償責任を負うこともあります(会社法第350条、429条、民法第709条)。

Q.会社の決算情報を公開しないとどうなるの?
A.100万円以下の過料を支払うことになる可能性があります。
罰則が適用されない場合でも、公告を行わないことで企業の信用力が低下し、以下のようなリスクが生じます:
- 取引先からの信頼喪失
- 金融機関からの融資審査で不利になる
- 株主や顧客の離反

Q.他社はどうしているの?
A.株式会社東京商工リサーチの調査によると、官報での決算公告が義務とされる企業のうち、実際に公告を行っているのはわずか【1.8%】。多くの企業が手間や費用を理由に公告実施していないのが現状です。
- 決算公告実施企業 1.8 %
- 公告を実施していない企業 98.2 %
4. 決算公告の方法と費用:3つの選択肢
決算公告には以下の3つの方法があります(会社法第939条):
官報
政府が発行する機関紙に掲載。信頼性が高く、要旨のみの掲載で済みます。費用は約75,000円〜150,000円。
日刊新聞紙
日本経済新聞などに掲載。企業の成長性を広くアピールできますが、費用は数十万円〜数百万円と高額。
電子公告
自社のホームページなどに掲載。費用を抑えられますが、全文掲載が必要で、5年間の継続公開義務があります。
5. 公告までの流れ:準備から実施までのステップ
- 決算書類の作成(貸借対照表など)
- 監査役や取締役会による承認
- 株主総会での承認
- 公告資料の作成
- 定款に従った方法で公告を実施(定款に記載がない場合は官報)
公告のタイミングは、定時株主総会の終結後、速やかに行う必要があります。
6. まとめ:公告は義務。信頼性を守るために
決算公告は法律で定められた義務であり、怠ると罰則や信用低下のリスクがあります。公告を正しく行うことで、企業としての信頼性を高め、取引先や金融機関との関係を円滑に保つことができます。
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この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。