この記事は誰のための記事か?
この記事は、これから行政書士として開業しようと考えている方、または開業してから3年以内で、集客・営業・業務メニューの整理に悩んでいる行政書士の先生に向けた内容です。
特に、法人や個人事業主をサポートしたい行政書士の方にとって、業務の全体像を把握して頂くための記事となっています。
動画タイトル:行政書士のお仕事紹介 / 行政書士が行う中小企業支援とは
【目次】
- 行政書士の業務は大きく分けて4つ
- 官公署に提出する書類の作成・代理業務とは
- 権利義務に関する書類の作成・代理業務とは
- 事実証明に関する書類の作成・代理業務とは
- 法人・個人事業主向け支援業務(特に注目すべき業務)
- 特定行政書士・申請取次行政書士ができる特別な業務
- 集客・営業の基本:開業直後にやるべきこと
1. 行政書士の業務は大きく分けて4つ
行政書士の仕事は、大きく分けて以下の4つに整理できます。
業務の種類 | 具体例 |
---|---|
① 官公署提出書類の作成・代理 | 許認可申請、届出書、補助金申請書 |
② 権利義務に関する書類の作成・代理 | 各種契約書、遺産分割協議書、示談書 |
③ 事実証明に関する書類の作成・代理 | 議事録、図面、財務諸表 |
④ 特定業務(有資格者のみ) | 申請取次(ビザ)、不服申立て代理 |
この全体像を理解することが、行政書士としての業務展開や集客戦略の第一歩です。
2. 官公署に提出する書類の作成・代理業務とは
行政書士のもっとも代表的な業務が、「官公署に提出する書類」の作成と代理申請です。簡単に言えば「役所に提出する面倒な書類を、本人に代わって作成し、申請する仕事」です。
官公署とは?
官公署とは、以下のような行政機関を指します。
- 各省庁(経済産業省、国土交通省、農林水産省など)
- 都道府県庁、市役所、区役所、町役場、村役場
- 警察署
- 消防署
これらの官公署に提出する書類は、なんと1万種類以上あると言われており、その中でも許認可に関する書類は、行政書士が日常的に扱う代表的なものです。
主な書類の種類

【許認可申請】
風俗営業許可申請
飲食店営業許可申請
建設業許可申請
産業廃棄物収集運搬業許可申請
古物商許可申請
運送業許可申請 など
【申請代行】
補助金申請支援 など
各許可申請をさらに詳しく解説
1. 風俗営業許可申請
業務内容
風俗営業許可は、主にアルコールを提供するキャバクラ、スナック、バー、パチンコ店、マージャン店など、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)で営業に制限がかかっている事業を開始する際に必要な許可です。なお、誤った認識の方が多いですが、アルコールを提供する事業者としてカフェ、喫茶店など、世間一般的に風俗営業との言葉の認識とは異なる事業者の方もこの対象となります。
手続きの流れ
- 事前相談(管轄警察署生活安全課)
- 必要書類の収集・作成
- 図面(用途地域確認・配置図・面積計算書など)の作成
- 警察署への申請
- 立入検査
- 許可証の交付(申請から約55日)
ポイント・注意点
- 物件の用途地域や学校・病院・図書館などの保護対象施設からの距離規制があり、物件選定の段階からの関与が求められる。
- 図面作成が複雑で、行政書士の専門性が活かせる。
- 申請人の欠格事由(前科など)も確認が必要。
集客のコツ
- 「開業前相談無料」「物件選びからサポート」といった強みを前面に出す。
- カフェ、喫茶店等風俗業界に強い不動産会社との連携が有効。
- ホームページで「用途地域・距離規制」など具体的な実例を掲載し、専門性をアピール。
2. 飲食店営業許可申請
業務内容
飲食店営業を開始するために必要な、食品衛生法に基づく営業許可申請。レストラン、カフェ、バーなどが対象。
手続きの流れ
- 事前相談(保健所)
- 必要書類の収集・作成
- 保健所への申請
- 現地検査
- 許可証の交付(申請から約2週間)
ポイント・注意点
- 食品衛生責任者の資格取得が必要。
- 店舗の構造設備基準(手洗い場の数・シンクの大きさ・換気設備など)の確認が重要。
- 物件工事前の設計段階から保健所との事前相談を行うとスムーズ。

3. 建設業許可申請
業務内容
一定規模以上の建設工事を請け負うために必要な建設業法に基づく許可。軽微な工事を除き、500万円以上の工事は許可が必要。
手続きの流れ
- 要件確認(経営業務管理責任者・専任技術者・財産要件など)
- 必要書類の収集・作成
- 申請書提出(都道府県または国土交通省)
- 審査・補正
- 許可証交付(約1〜2ヶ月)
ポイント・注意点
- 人的要件(経験年数や資格)の確認が難しく、事前調査が重要。
- 事業開始から許可取得まで時間がかかるので早めの相談が必要。
- 決算変更届や更新業務(5年ごと)も継続的に発生。
集客のコツ
- 「無料要件診断」や「建設業許可シミュレーション」などのWEBコンテンツを活用。
- 建材業者・建築士・税理士との連携で紹介を受けやすい。
- 行政書士業務の中では珍しく継続的な顧客管理(決算変更届・更新管理)でリピート受注が期待できる支援業務として行政書士から人気。
4. 産業廃棄物収集運搬業許可申請
業務内容
建設現場や工場などで発生した産業廃棄物を収集・運搬する業務を行うための許可。都道府県ごとに許可が必要。

手続きの流れ
- 事前相談(自治体)
- 必要書類の収集・作成
- 許可申請書提出
- 審査・補正
- 許可証交付(約2〜3ヶ月)
ポイント・注意点
◆取得後の講習会受講も必要。
◆事業計画、運搬車両の仕様、保管場所の基準など確認が細かい。
◆法人の財務状況も審査対象になる。
集客のコツ
- 建設業・解体業の顧客とセットで提案すると効果的。
- 「マニフェスト伝票の作成」「収集運搬車両の表示義務」など、取得後のフォローもアピール。
- エリア特化型のSEO対策(例:〇〇市 産廃許可)を行うと効果が高い。
5. 古物商許可申請
業務内容
中古品の売買を行うために必要な許可。リサイクルショップ、ネットオークション販売業者、中古車販売店などが対象。
手続きの流れ
- 事前相談(警察署)
- 必要書類の収集・作成
- 申請書提出(警察署)
- 審査(約40日)
- 許可証交付
ポイント・注意点
- 営業所・倉庫の確保が必要(自宅でも可だが賃貸の場合は制約あり)。
- 欠格事由の確認が必要。
- ネットショップ(プラットフォーム利用含む)の場合も申請が必要。
集客のコツ
- ネットショップ開業サポートとの組み合わせで需要が高い。
- 「最短取得」「必要書類チェックリスト提供」で初心者にも安心感を与える。
- 建設業界、中古車業界、不動産業界、リサイクル業界の企業と連携すると顧客紹介につながる。
6. 運送業許可申請(一般貨物自動車運送事業)
業務内容
有償で貨物を運送する事業を行う際に必要な許可。トラックを使用した運送業務を行う場合は必須。
手続きの流れ
- 事前相談(地方運輸局)
- 事業計画・必要書類作成
- 申請書提出(地方運輸局)
- 公聴会・審査(約3〜6ヶ月)
- 許可通知
- 運輸開始前の講習・車両登録
- 事業開始
ポイント・注意点
- 営業所・車庫の設置要件が厳しく、土地の用途地域や面積制限をクリアする必要がある。
- 運行管理者・整備管理者の選任が必要。
- 資金要件のハードルが高い(自己資金で約500万円以上必要)。
集客のコツ
- 物件探し段階から関与できると強い。
- 「事業計画書作成サポート」「許可取得後の講習案内」などワンストップで対応すると魅力的。
- 自動車販売店、リース会社、物流業界との連携が有効。
行政書士に依頼するメリット
行政書士は、依頼者本人に代わって書類を作成し、官公署に申請することが法律で認められています。行政書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
- 書類の作成ミスや不備が防げる
- 手続きがスムーズに進む
- 本人は本業に専念できる
許認可が必要な業種の多くは、法律で営業が厳しく規制されているため、行政書士のサポートが不可欠です。

官公署に提出する書類の作成の代表的な具体例としては、行政書士の花形業務である「建設業許可申請支援」などがあります。
これから行政書士業務を始められる方は、ご自身の過去の業務経験に関連する支援業務に特化するのがオススメです。
具体例解説:行政書士が行う補助金申請支援業務とは
1. 補助金申請支援とは?行政書士が関与できる業務範囲
補助金申請支援とは、事業者が活用できる補助金の提案から、必要書類の作成、申請手続きのサポート、交付後のフォローまでを一貫して支援する業務です。行政書士は、主に申請書類の作成代行や作成支援を通じて、事業者の負担を大幅に軽減することができます。
2. 補助金申請支援の流れ
補助金申請支援は、以下のようなステップで進めます。
ステップ | 支援内容 |
---|---|
1. 制度選定 | 事業者に適した補助金制度のご提案 |
2. 要件確認 | 公募要領に基づく適格性の確認 |
3. 事業計画ヒアリング | 補助金対象事業の詳細確認 |
4. 申請書類の作成支援 | 申請書、事業計画書、必要添付資料の作成 |
5. 申請代行(行政書士が可能な範囲) | 電子申請や紙申請のサポート |
6. 採択後のフォロー | 実績報告書・交付申請書の作成支援 |
3. 補助金申請支援における行政書士の強み
行政書士は、官公署への書類作成を専門とする国家資格者です。そのため、以下のような大きな強みがあります。
【行政書士の強み】
- 行政手続きに精通しており、適法な書類作成ができる
- 公募要領・関係法令を正確に読み解く力がある
- 法人設立・建設業許可など、他の許認可業務と並行して補助金申請支援が可能
- 中小企業支援の実務経験が豊富な場合が多い
特に、補助金の加点項目(許認可の有無や経営計画策定支援)についても、行政書士が早期からアドバイスできるのが大きなメリットです。
3. 権利義務に関する書類の作成・代理業務とは
行政書士は、契約や権利に関する重要な書類を作成することも業務の一つです。これらの書類は「権利義務に関する書類」と呼ばれ、社会生活の中で非常に重要な役割を果たします。
権利義務に関する書類とは?
「権利義務に関する書類」とは、契約や法律行為を通じて、権利が発生したり消滅したりすることを証明する書類のことです。
具体例
- 各種契約書(売買契約書、賃貸借契約書、請負契約書など)
- 遺産分割協議書
- 示談書、和解書
- 念書、覚書
- 内容証明郵便
- 嘆願書、請願書、上申書
- 定款(法人設立時の基本ルール)
行政書士の関わり方
これらの書類は、日常生活や事業活動でトラブルを防ぐためにとても重要です。
行政書士が関与することで、
- 法的に有効な書類が作れる
- 万が一のトラブル時に強い証拠となる
- 手続きがスムーズに進む
といったメリットがあります。
特に「内容証明郵便」や「示談書」などは、ご本人でも作成できますが、法律の知識がないと十分な効力を持たせることができないため、行政書士のサポートが求められます


権利義務に関する書類の作成・代理業務の代表的な具体例としては、多くの行政書士の先生方が参入されている「相続関連業務」などがあります。
過去にご家族などにご不幸があって、相続手続きをご経験になられた方はその複雑な手続きから、支援を必要とされている方がいらっしゃるのは想像しやすいのではないでしょうか。
具体例解説:行政書士が行う相続支援業務とは
行政書士が行う相続支援業務とは、相続が発生した際に必要な各種書類の作成や手続きの代行を通じて、相続人の負担を軽減するサービスです。
主に次のような業務があります。
- 相続人調査
- 相続関係説明図の作成
- 財産目録の作成
- 遺産分割協議書の作成
- 各種名義変更手続きのサポート(預貯金・自動車・不動産など)
- 相続放棄サポート(※家庭裁判所への申述書は本人申請)
- 遺言書の作成支援(自筆証書遺言、公正証書遺言)
※遺産分割の紛争がある場合や登記業務、税務申告は、弁護士・司法書士・税理士等と連携する必要があります。
4. 事実証明に関する書類の作成・代理業務とは
「事実証明に関する書類」とは、過去にあった出来事や事実を証明するための書類を指します。これも行政書士が作成できる重要な業務のひとつです。
事実証明書類の具体例
- 会社の議事録
- 財務諸表(貸借対照表、損益計算書など)※税理業務は不可(税理士業務です)
- 実地調査に基づく図面(位置図、現況測量図など)
- 申述書(事実を証明する個人の説明書類)
行政書士が関わるメリット
- 法的に整った形式で作成できる
- 証拠力のある書類として使用できる
- 官公署提出書類に添付する場合、適切な内容に整えられる
これらの書類は、日常的な契約や申請において、事実関係を証明するために欠かせない書類です。行政書士は、正確な内容と適切な様式でこれらの書類を作成し、トラブルを未然に防ぐサポートを行います。

事実証明に関する書類の作成・代理業務については、先の2つの業務を実施するにあたって、業務上必要不可欠になり行政書士が代行するといったケースが多いかと思います。こちらは、常識的な手数料設定をすることで、先の記載した業務でクライアントへ請求する手数料が上振れします。
具体例解説:行政書士が行う会社議事録作成業務とは
5. 行政書士が支援できるポイント
会社法や商業登記の知識を活かし、行政書士は次のような形で議事録作成をサポートできます。
行政書士が行える支援業務例
- 会議運営の流れに沿った議事録の作成代行
- 株主総会・取締役会の招集通知・議事次第の作成
- 定款変更や役員変更に伴う登記手続きの連携支援
- 過去の議事録の整理・再作成のサポート
- 議事録の法的妥当性チェック など
行政書士に依頼するメリット
- 法的要件を満たした正しい議事録が作成できる
- 複雑な商業登記との連携もスムーズに進められる
- 不備やトラブルを未然に防止できる
5. 法人・個人事業主向け支援業務(特に注目すべき業務)
行政書士は、法人や個人事業主が新しく事業を始めたり、事業拡大を行うときに非常に重要なサポートを提供できます。
具体的な支援内容(行政書士に人気の法人支援業務)
- 会社設立支援(定款作成、法人登記申請のサポート)
- 許認可申請(建設業許可申請など業種ごとに必要な手続きの代行)
- 補助金・銀行融資申請支援(公募要領の読み解きと申請書作成)
- 契約書の作成(取引先との契約リスクの低減)
- 事業承継・M&A支援(合意書、契約書の作成サポート、法務デューデリジェンスの実施)
これらの業務は、経営者にとって「手間」「不安」「法的リスク」を減らせるため、非常に高い付加価値があります。
特に、補助金申請の支援は行政書士の新たなマーケットとして拡大しています。補助金に関する最新情報をいち早くキャッチし、適切にサポートできる行政書士は、企業からの信頼を得やすく、安定した顧客獲得につながります。
6. 特定行政書士・申請取次行政書士ができる特別な業務
上記以外にも行政書士には、一定の研修や届出を完了した者だけが取り扱える “特別な業務” があります。
特定行政書士
特定行政書士は、行政庁に対する「不服申立て」の代理ができます。たとえば、許可が下りなかった場合の審査請求や再審査請求などに対応できます。
申請取次行政書士

【個人向けサービスとして特に人気あり】
外国人在留資格申請:出入国管理局へのビザ申請業務を、依頼者に代わって手続きできます。特に外国人雇用の増加に伴い、需要が高まっている分野です。
これらは付加価値が高く、差別化しやすい分野のため、専門的に取り組むことも集客戦略の一つとなります。
7. 集客・営業の基本:開業直後にやるべきこと
開業したばかりの行政書士が最も悩むのは「どうやってお客様を獲得すればいいのか」という点です。ここでは、集客のために最初にやるべき具体的な行動をご紹介します。
SEO対策されたブログの活用
行政書士の集客において、Google検索で見つけてもらうことは非常に重要です。自分が得意とする許認可や補助金について、検索されやすいテーマでブログ記事を書くことをおすすめします。
たとえば、
- 「〇〇市 飲食店営業許可 必要書類」
- 「〇〇県 建設業許可 流れ」
- 「小規模事業者持続化補助金 申請サポート」
地域名や具体的な手続名をタイトルに入れることで、検索上位を狙いやすくなります。

記事を作成する際のポイントとしては、SEO対策を重視する事。
特に行政書士のように自身の事業テリトリー(自身の事務所のある県や市)がある場合、ブログ記事を作成する場合は必ず県名や市名、町名など地域名を入れて下さい。これにより、集客力が格段に上がります。
WEBを活用した集客の導線を作り出す
顧客に問い合わせをしてもらうためには、ランディングページ(LP)が有効です。ITスキルに自信のない方は分かりやすく専門分野をアピールしたページを簡単に作成できる”ペライチ”などのツールを活用しましょう。
行政書士事務所でよくある専門ページ例
補助金申請サポート専門ページ
飲食店営業許可専門ページ
建設業許可専門ページ

商工会議所や地域金融機関と連携する
地域の商工会議所や信用金庫、地方銀行と関係を築くことで、中小企業との接点が増えます。名刺交換時に「何の専門家か」「どの手続きを得意としているか」を簡潔に説明できるように準備しましょう。
YouTubeで行政手続きの解説動画を発信する
動画は、あなたの顔や声を顧客に覚えてもらう強力なツールです。難しい法律の話ではなく、飲食店営業許可の取得方法や補助金申請の基礎など、市民目線のやさしい説明を心がけましょう。
まとめ
行政書士の集客は、SEO、Webページ作成、地域ネットワーク、動画発信の組み合わせが効果的です。まずは「何に特化した行政書士なのか」を明確にし、継続的に情報発信を行いましょう。
ホームページやWeb集客のノウハウは、以下でさらに詳しく学べます。
【無料講座】
行政書士・士業向け Web集客基礎講座
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この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。
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