法人や個人事業主などが事業向けに銀行からお金を借りるとき、「いくらまで借りられるのか?」はとても気になるポイントですよね。実は、銀行はさまざまな指標を使って、融資の上限額を判断しています。

この記事では、財務知識がなくても理解できるように、代表的な指標を一つずつ丁寧に解説します。

指標・基準内容・目安
月商倍率運転資金:月商の3〜4ヶ月分
設備資金:月商の6ヶ月分まで
債務償還年数「税引後利益+減価償却費」で借入金を何年で返済できるか。10年以内が目安
年商倍率年商の50%(=月商6ヶ月分)までが一つの目安
キャッシュフロー倍率「税引前利益+減価償却費」の10倍までが融資可能額の目安
自己資本比率25%以上が望ましい。高いほど融資枠が広がる
流動比率120%以上が安全圏とされる
担保の有無不動産担保が最も評価され、担保価値の70%程度が融資限度額に反映
保証人の有無経営者保証が不要になるケースもあるが、信用力が重要
資金使途運転資金・設備資金・創業資金など目的に応じて限度額が変動
創業融資制度(2024年改正)最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)まで可能
取引状況銀行との取引実績(入金口座、支払口座など)も限度額に影響

注)これらの目安はあくまで参考値であり、実際の融資額は銀行との交渉や事業計画、財務資料の内容によって大きく変わります。特に「債務償還年数」や「キャッシュフロー倍率」は、銀行が返済能力を判断する際に重視する指標です。

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概要:
月商(1ヶ月の売上)を基準に、どれくらいの資金が必要かを判断する方法です。

目安:

  • 運転資金(仕入れや人件費など)→ 月商の3〜4ヶ月分
  • 設備資金(機械や店舗など)→ 月商の6ヶ月分まで

初心者向けポイント:
たとえば、月商が500万円の会社なら、運転資金として1,500万〜2,000万円、設備資金として最大3,000万円が目安になります。

概要:
会社が稼ぐ利益と減価償却費(設備の価値が減る分)を使って、借金を何年で返せるかを計算します。

目安:
10年以内で返済できると、銀行は安心します。

初心者向けポイント:
「利益+減価償却費」が毎年1,000万円で、借入が5,000万円なら、5年で返せる → OK!
逆に、返済に15年かかるなら → NGの可能性あり。

概要:
年商(1年間の売上)を基準に、融資額を判断する方法です。

目安:
年商の50%(=月商6ヶ月分)までが目安。

初心者向けポイント:
年商が1億円なら、最大5,000万円まで借りられる可能性があります。

概要:
「税引前利益+減価償却費」で、会社がどれだけ現金を生み出しているかを見ます。

目安:
この金額の10倍までが融資可能額の目安。

初心者向けポイント:
現金を生み出す力が強い会社ほど、たくさん借りられるということです。

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概要:
会社の資産のうち、どれだけが自分のお金(資本金や利益)かを見る指標。

目安:
25%以上が望ましい。

初心者向けポイント:
借金ばかりの会社より、自分のお金で運営している会社の方が、銀行は安心します。

概要:
「すぐに現金化できる資産」と「すぐに払わなければならない負債」のバランスを見る指標。

目安:
120%以上が安全圏。

初心者向けポイント:
支払いに困らない会社かどうかをチェックするための指標です。

概要:
会社や経営者が持っている不動産などを担保にすると、融資額が増える可能性があります。

目安:
担保価値の70%程度が融資限度額に反映。

初心者向けポイント:
たとえば、1億円の不動産を担保にすると、7,000万円くらいまで借りられる可能性があります。

概要:
経営者が「返済できなかったら自分が責任を取る」と保証する制度。最近は不要になるケースも増えています。

初心者向けポイント:
保証人がいなくても借りられる制度や、保証会社を利用する方法もありますのでお困りの場合は、専門家に相談してみましょう。

概要:
運転資金、設備資金、創業資金など、使い道によって融資額が変わります。

初心者向けポイント:
「何に使うか」を明確にすると、銀行も判断しやすくなります。

概要:
日本政策金融公庫などが提供する創業支援制度。2024年に上限額が拡大されました。

目安:
最大7,200万円(うち運転資金4,800万円)

初心者向けポイント:
創業時でも、しっかりした事業計画があれば大きな融資が可能です。

概要:
銀行との取引実績(入金口座、支払口座など)があると、融資に有利になります。

初心者向けポイント:
普段から取引している銀行に相談するのがベストです!

融資の上限額は、単純に「売上が多いからたくさん借りられる」というわけではありません。
銀行は「返せるかどうか」「会社が安定しているか」を総合的に判断しています。

初心者の方は、まずは月商や年商、キャッシュフローなどの基本指標を理解し、事業計画書をしっかり作ることが大切です。

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補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。