「売上原価(うりあげげんか)」とは、商品やサービスを販売するために直接かかったコストのことを指します。

たとえば、

  • 小売業なら:仕入れた商品の購入代金
  • 製造業なら:材料費・部品費・製造にかかる人件費や工場の光熱費
  • サービス業なら:外注費やサービス提供のための人件費

など、売上を生み出すために“直接必要だった”コストがここに含まれます。


損益計算書では、

売上高 - 売上原価 = 売上総利益(粗利)

という形で並びます。

つまり、売上原価は「どれだけ効率的に稼いでいるか」を測るための最重要指標です。
もし売上が伸びても、原価がそれ以上に増えてしまえば利益は減ります。
反対に、原価を適正に抑えれば、同じ売上でも利益が増えます。

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💡 ポイント:
「売上を上げるより、原価をコントロールするほうが利益改善につながる」というのは、経営の現場でよく言われる鉄則です。
特に銀行員などファイナンスの専門家は、売上の上げ方についてはアドバイス出来ないが、製造原価等の削減については意見を言えるケースが多く、そちらに偏りがちのアドバイスが多いですのでご注意下さい。


業種によって内容は異なりますが、一般的な構成は以下の通りです。

業種売上原価に含まれる主な項目
小売業商品の仕入れ代、運搬費、倉庫保管費など
製造業材料費、労務費(工場の人件費)、製造間接費(光熱費・減価償却費など)
サービス業外注費、人件費、サービス提供に必要な経費など
材料費 + 労務費 + 製造間接費 = 売上原価

売上原価が高すぎると、「粗利(売上総利益)」が減ります。
たとえば次のようなイメージです。

項目A社B社
売上高1,000万円1,000万円
売上原価700万円500万円
売上総利益300万円500万円

同じ売上でも、原価が高いA社は利益率が低く、経営の余裕も小さいことが分かります。


売上原価を適正に抑えるには、次のような工夫が重要です。

  1. 仕入れ単価の見直し
    → 取引先の価格交渉やまとめ買い割引の活用。
  2. 製造効率の改善
    → 不良品を減らす、作業手順を短縮するなど。
  3. 在庫管理の徹底
    → 余剰在庫を減らし、廃棄や保管コストを削減。
  4. 外注バランスの見直し
    → 内製化と外注化のバランスを定期的に検討。
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原価管理の効果
事業規模にもよりますが、こうした取り組みで「原価を1%下げる」ことは、「売上を数百万円伸ばす」のと同じ効果を持つことがあります。


売上原価の割合を「原価率」と言います。
計算式は次の通りです。

原価率 = 売上原価 ÷ 売上高 × 100(%)

たとえば、売上1,000万円・原価600万円なら、
原価率=60%。
つまり、売上の60%が原価に消えているという意味です。

この数字を他社や業界平均と比較することで、
自社の「収益体質」を診断することができます。


売上原価は単なるコストではなく、利益を生み出す構造の核心部分です。
どんなに売上を伸ばしても、原価を把握していなければ真の成長はできません。

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🎯 本記事のポイントはこちら
※売上原価は、売上を生み出すための直接コスト
※「売上高-売上原価=売上総利益」で利益が決まる
※原価率を見れば、収益体質の強さがわかる
※小さな原価改善が、大きな利益改善につながる
是非参考になさってください。

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補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。