
法人の登記や契約手続きにおいて必要となる「印鑑証明書」。しかし、「履歴事項全部証明書」と混同されがちです。
本記事では、印鑑証明書の役割や取得方法、履歴事項全部証明書との違いをわかりやすく解説します。
1. 印鑑証明書とは?
印鑑証明書とは、法務局に届け出た法人の「会社実印(代表者印)」が正式なものであることを証明する書類です。
- 登記された会社の正式な印影を証明
- 契約・登記・融資などで使用される重要な書類
印鑑そのものではなく、「印鑑が間違いなく届け出られているものか」を証明するための書類です。
2. 履歴事項全部証明書との違い
比較項目 | 印鑑証明書 | 履歴事項全部証明書 |
---|---|---|
証明対象 | 登録された印鑑 | 法人の登記情報全体 |
主な目的 | 実印の証明 | 法人情報の開示 |
使用例 | 契約書への押印時 | 法人口座開設、補助金申請など |
有効期限 | 一般的に3か月以内を要求 | 一部手続きで3か月以内が望ましい |
3. 印鑑証明書の主な用途(使い道)
印鑑証明書は、法人の代表印が正式なものと証明するために、次のような場面で求められます。
- 金融機関との契約(融資、口座開設など)
- 官公庁への申請(補助金・入札など)
- 不動産取引・リース契約
- 会社間の重要な契約書締結時
4. 印鑑証明書の取得方法(法人の場合)
法人が印鑑証明書を取得するには、以下の手順を踏みます。
【前提】印鑑の届出が必要
まずは法人設立時または後日、法務局へ「会社実印(代表者印)」の届出が必要です。
【取得手順】
- 最寄りの法務局へ出向く
- 「印鑑証明書交付請求書」を記入
- 必要書類・手数料(1通450円)を提出
- 印鑑証明書を受け取る
5. オンラインで取得できる?
可能です。
登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと「供託ねっと」)を利用すれば、事前登録のうえオンライン申請・郵送受領が可能です。
オンライン取得のメリット:
- 法務局に出向く必要がない
- 24時間いつでも申請できる

当社からのアドバイス:
印鑑証明書には法的な「有効期限」はありません!
しかし、実社会では多くの提出先で「発行後3か月以内」の書類を求められます。
7. よくある質問(FAQ)
Q1:法人の印鑑証明書は誰でも取得できますか?
→ 取得できるのは、会社の代表者、役員、または委任を受けた代理人に限られます。
Q2:印鑑証明書は複数通まとめて取得できますか?
→ 可能です。手数料(1通450円)は通数分かかります。
Q3:個人の印鑑証明書と何が違うの?
→ 個人の場合は市区町村で発行されますが、法人の場合は法務局で発行されます。
まとめ
法人の印鑑証明書は、会社の実印が法務局に届け出られた正式なものであることを証明する重要書類です。
契約や登記などの手続きで求められる場面も多いため、履歴事項全部証明書との違いを理解し、必要なタイミングで正しく取得できるようにしておきましょう。
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この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。