M&A仲介業者にとって、適切なプラットフォーム選びは、案件獲得・成約率の向上に直結します。ここでは、日本国内で主要なM&Aプラットフォームを取り上げ、料金体系、使いやすさ、取扱案件の傾向などを徹底的に比較・解説します。

主要なM&Aプラットフォーム一覧(2025年時点)

TRANBI(トランビ)

BATONZ(バトンズ)

ビズリーチ・サクシード

M&A総合研究所

funDeal(ファンディール)

スマイルサーチ

OWNER(オーナー)

M&A Cloud

事業承継ナビゲーター(日本政策金融公庫)

SMBC事業承継マッチング支援サービス など


プラットフォーム初期費用月額費用成約手数料特徴案件傾向
TRANBI無料無料(※法人プランあり)買い手5%、売り手無料案件数最大級・使いやすさ抜群小規模〜中規模、地域密着案件も多い
BATONZ55,000円33,000円〜(法人)成約報酬あり(案件により変動)仲介サポートも提供小規模事業者に強い、飲食・小売多め
ビズリーチ・サクシード問合せ要問合せ要非公開(大手向け)ビズリーチ連携、質の高い案件多中〜大規模、経営者層へのリーチ強み
M&A総合研究所0円0円成約手数料10%(成功報酬)AIマッチングに強み、スピード感あり中規模以上が中心
funDeal22,000円11,000円〜成約手数料あり士業・仲介業者向け機能が豊富小〜中規模、地域特化型案件も多数
スマイルサーチ0円0円問合せ要案件数少なめ、SEO対策に強み中小企業中心
OWNER0円0円非公開不動産・事業承継案件混在業種幅広め、小規模も多い
M&A Cloud問合せ要問合せ要問合せ要スタートアップ向け強み、直接交渉型テック・新興系多い
事業承継ナビゲーター0円0円0円(公的)公的機関運営、信頼性高い地方中小、後継者難民向け多し
SMBC事業承継問合せ要問合せ要問合せ要大企業・金融機関連携中〜大規模が中心

  • TRANBI
     → 案件数が非常に多く、スモールM&A初心者にも扱いやすい設計。法人向け有料プランは、詳細条件での検索や分析機能が使いやすく、スピーディに買い手・売り手の提案が可能。
  • BATONZ
     → 月額費用がかかるが、仲介支援の手厚さが特徴。地方の案件やスモールビジネスを扱う仲介者には特に好評。売り手の「お任せサポート」も提供されており、初心者案件も豊富。
  • funDeal
     → 他士業との連携に優れており、士業系の仲介者から評価が高い。案件公開の自由度が高く、交渉も柔軟。利用料金が明確で予算を立てやすいのもメリット。
  • ビズリーチ・サクシード
     → 掲載までの審査が厳しく、料金体系も非公開なため敷居は高い。ただし、ビズリーチ経由での経営者リーチに強く、ハイレベルな案件を扱う仲介者向け。
  • M&A総合研究所
     → 案件対応のスピード感があり、仲介者よりもダイレクトマッチングを希望する売り手・買い手に好まれる。仲介者には競合になることも。

M&Aプラットフォームはそれぞれ独自の強みを持っており、仲介者のビジネスモデルや方針、扱いたい案件の種類によって適切な選択が変わります。以下に、目的別に選ぶ際のポイントを詳しく解説します。


① 中小企業・地方企業の案件を重視する場合

TRANBI(トランビ)やBatonz(バトンズ)が特におすすめです。

  • 地方の中小企業の案件が豊富で、売り手との接点を多く持ちたい仲介者に適しています。
  • 両者とも手数料が比較的安く、初心者仲介者が試験的に利用するにもハードルが低めです。
  • 特にBatonzは、会計士や金融機関などとも連携しており、提案の幅が広がるのも魅力です。

② 高価格帯の案件やスピーディなマッチングを求める場合

M&AクラウドやM&Aナビがおすすめです。

※M&Aクラウドは、買い手企業が主体の逆求人型プラットフォームで、高価格帯案件も多く、企業価値のある売り手との出会いが見込めます。

※デジタル企業や成長ベンチャーとの接点を重視したい仲介者には魅力的。

※対して、M&Aナビはシンプルで洗練されたUIで、スピード重視の仲介者に向いています。


③ 同業者との連携や案件共有も視野に入れたい場合

ビズリーチ・サクシードが有力です。

  • 高品質な売り手・買い手が多く、法人向けに案件の信頼性が高い。
  • 仲介者専用の審査を経て利用できるため、他仲介業者との質の高い連携が可能です。
  • 少数精鋭の仲介者にとって、ブランディングにもつながります。

④ コスト重視でまずは気軽に始めたい場合

  • TRANBIの無料プランや、Batonzの成果報酬型モデルなどが始めやすいです。
  • まずは登録・検索を行い、自社が求める案件がどの程度存在するかを確認してから、プレミアムプランの契約に進むのが安全です。

M&Aプラットフォームをこれから活用し始める方に向けて、無駄なく・効率よく活用するためのステップをご紹介します。


ステップ①:複数のプラットフォームに無料登録して比較する

※TRANBIやBatonz、M&Aナビなど、無料登録可能なサービスをまず体験

※案件の種類、使いやすさ、サポート体制などを自分の目で確認することが重要。


ステップ②:売り手・買い手のニーズを整理しておく

  • 特に中小企業のM&Aでは、売り手の感情的側面(事業への想い)を汲む必要があります。
  • 初回面談に向けて、「どんな買い手を紹介できるか」想定を持っておくと成約率アップにつながります。

ステップ③:プラットフォーム経由の案件だけに依存しない

  • プラットフォームはあくまで「出会いの場」であり、成約には別の動き(バリュエーション、デューデリ対応、契約支援)が必要。
  • 自社で資料テンプレートやクロージング体制を整えておくと、仲介者としての信頼が高まります。

ステップ④:有料プランは初成約前に焦って申し込まない

  • まずは無料で使える範囲で案件検索や初期コンタクトを行い、自社のリソースで対応できるかを見極める
  • 案件数・質に納得したタイミングで有料プランに移行するのが理想です。

補助金の広場

当社からのアドバイス
M&Aプラットフォームは、仲介業務を加速させる強力な武器になりますが、自社の強み・目的に合った選択が不可欠です。まずは複数を比較しながら、自社のM&A戦略に最適な一手を探りましょう。初心者であっても、正しいステップで活用すれば成約実績を着実に積み上げることが可能です。


M&Aプラットフォームは年々多様化が進んでおり、仲介業者にとって「どこに案件があるか」だけでなく、「どこが自分の顧客と相性が良いか」を見極めることが重要です。

本記事を通じて、各プラットフォームの特徴を整理し、最適な選択を行う一助となれば幸いです。


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補助金の広場代表畠中

大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。