中小企業の経営者の中には、「一代で会社を立ち上げ、事業を拡大してきたが、そろそろ引退を考えている」という方も多いのではないでしょうか。そのような場合、会社をどのように“次の世代”へ引き継ぐかは、非常に重要なテーマとなります。なお、一般的にスモールM&Aの対象となるような企業では、以下の4つの選択肢があると言われています。
1.親族(息子・娘など)への承継
2.従業員など社内の人材への承継(いわゆる社内承継)
3.外部の企業や個人への譲渡(M&Aによる承継)
4.廃業
かつて一般的とされた「1.親族(息子・娘など)への承継」制度の機能低下
かつては「創業者の長男等親族への会社の承継」により後継者が社会問題化するといったことはありませんでした。しかし、現状は下記の通りに日本の約半数の企業が後継者問題に直面している事がわかります。
帝国データバンクが2024年に発表した全国「後継者不在率」動向調査によると、日本企業の約52.1%が後継者不在の状態にあると報告されています。
出典元:帝国データーバンク(2024年度調査/対象:全国全業種約27万社)
後継者問題は業界を問わず発生している「日本全体の社会問題」といえる
下記の表からも分かるように、この後継者不在問題はすべての業種に共通する課題であり、日本全体の社会問題といえます。

そのような背景もあり、M&Aによる事業承継が今、大きな注目を集めているのです。
▶実はM&Aは難しくない?基本の手法はたった5つ
M&A(エムアンドエー)と聞くと、大企業同士の合併・買収のような難しい手続きを想像される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実際には法律で認められているM&Aの手法は以下の5つしかなく、大変シンプルです。
- 株式取得
- 事業譲渡
- 会社分割
- 株式交換
- 合併

上記の中でも、スモールM&Aの実務でよく使われるのは「この2つ」
スモールM&Aの実務でよく利用されるのは次の2つの手法です。
- 株式取得
・特徴:会社の株式を譲渡することで経営権を移転
・メリット:契約や従業員との関係がそのまま継続されやすい
・デメリット:過去の債務やリスクも引き継ぐ可能性がある - 事業譲渡
・特徴:会社の事業そのものを売買対象にする
・メリット:不要な事業を切り離して譲渡できる
・デメリット:契約の見直しや従業員との再契約が必要
これを押さえておけば、スモールM&Aの基本は十分理解できます

まとめ:自社に合った承継方法を選ぶことが大切
このように、M&Aによる事業承継には複数の手法があり、それぞれに長所と短所があります。
重要なのは、自社の状況や課題に合わせて、最適な方法を見極めることです。
特に「時間的余裕がない」「親族に継がせるのが難しい」という場合には、社外への事業譲渡という選択肢が強力な解決策となります。事業を次の世代に安心して託すためにも、ぜひ一度、M&Aの活用を前向きにご検討されてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
M&Aや事業承継についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひ他の記事もご覧ください。
補助金のプロを目指すなら



この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。