【この記事はこんな方におすすめです】
- 「補助金って、返さなくていいって本当？」と疑問に感じている方
- 起業や設備投資のために補助金を検討している個人事業主・中小企業の経営者の方
- 補助金の申請を支援している行政書士・税理士・経営コンサルタントの方
- 補助金を受け取った後に何をしなければいけないのか、不安に感じている方
【目次】
- 補助金は本当に返済不要なのか？
- 補助金と融資・助成金の違いを理解しよう
- 補助金の受給には「条件」がある
- 補助金をもらった後に発生する“報告義務”とは
- 補助金の使い道には厳しいルールがある
- 補助金をもらった後の“調査”と“実績報告”
- 補助金を返還しなければいけないケースとは？
- 補助金申請の支援者に求められる知識と責任
- まとめ｜補助金は返済不要だが「タダではない」
1. 補助金は本当に返済不要なのか？
結論から言えば、「補助金は基本的に返済不要」です。
補助金とは、国や地方自治体が特定の政策目的の達成を支援するために、個人や企業に対して支給する“返済義務のない事業資金”のことです。
ただし、「補助金＝無条件でもらえるお金」ではありません。
返済義務がない一方で、補助金の交付には厳格な条件が付き、受給後にも様々な義務（報告・実績・保管など）が課される点に注意が必要です。
2. 補助金と融資・助成金の違いを理解しよう
| 種類 | 返済の有無 | 主な目的 | 支給元 |
|---|---|---|---|
| 補助金 | 返済不要 | 国の政策実現支援 | 国・地方自治体等 |
| 融資 | 返済必要 | 資金調達 | 日本政策金融公庫・銀行等 |
| 助成金 | 返済不要 | 雇用・人材支援など | 厚労省系が中心 |
補助金とよく混同される「助成金」も基本的に返済不要ですが、主に雇用関係が対象です。
「融資」は返済義務がある点で根本的に異なります。
3. 補助金の受給には「条件」がある
補助金をもらうには、次のような“条件”を満たす必要があります：
- 対象となる事業・経費の範囲が明確に定められている
- 公募期間中に申請しなければならない
- 採択されるには審査がある（提出書類・事業計画の質が問われる）
- 実績報告書や経費の証拠書類や実績を証明する画像などが必要
- 交付決定後でなければ事業を始められない場合が多い など
つまり、「申請したから必ずもらえるわけではない」という点に注意が必要です。
4. 補助金をもらった後に発生する“報告義務”とは
申請する補助金によりその条件は異なりますが、補助金が交付された後には、「使った結果をきちんと報告してください」という義務があります。
主な報告内容：
- 実績報告書（補助金で何をしたか、効果が出たか）
- 経費の内訳や支払証明書
- 写真や契約書などの添付資料
- 資産管理に関する台帳作成
- 従業員への給与支給台帳 など
この報告を怠った場合、「補助金の返還」や「次回以降の申請不可」といったペナルティが発生することも。
5. 補助金の使い道には厳しいルールがある
補助金の使い道は“自由”ではなく、事前に申請した内容通りに使わなければなりません。
例えば：
- 「機械設備費」で申請したのに、広告費に使う → NG
- 「システム導入費」として申請したが、別のソフトを買った → NG
- 経費支払い時に現金払いをした → 原則NG（銀行振込などの証拠が必要）
つまり、「自由なお金」ではなく“目的限定の公的資金”という理解が重要です。
弊社からのアドバイス：
補助金は採択されたら全額もらえる？実は注意が必要です
「補助金は採択されたら、申請した金額がそのまま全額もらえる」と思っていませんか？
実は、約半年〜1年後に実際に入金される金額が【減額】されてしまうケースが少なくありません。
では、なぜ一度採択された補助金が減額されてしまうのでしょうか？
また、減額を防ぐにはどのような対策が必要なのでしょうか？
こうした疑問やお悩みについて、以下の記事で詳しく解説しています。
👉 補助金交付の減額リスクを回避するための手続きと対応
→ https://hojyokin-hiroba.com/hojyokin-20230803/
6. 補助金をもらった後の“調査”と“実績報告”
補助金をもらった後、次のような対応が求められます：
- 書類チェック（実績報告書、経費の証拠など）
- 実地検査（稀に補助事業の現場に監査が来ることも）
- 事業成果報告（例：売上増加、雇用拡大などの実績）
中には「5年の報告義務アリ」といった条件の補助金もあり、アフター対応の手間は小さくありません。
7. 補助金を返還しなければいけないケースとは？
以下のような場合には、補助金を返還しなければならないことがあります。
- 不正受給（虚偽申請・架空請求など）
- 報告義務の未履行（実績報告書の未提出など）
- 補助対象外の使途への流用
- 事業を途中でやめた・廃業した
- 補助金交付要綱に違反した
- 補助金申請をした際に宣言した条件が達成出来なかった場合 など
特に不正受給は重いペナルティ（刑事罰含む）が課される可能性があるため、注意が必要です。
8. 補助金申請の支援者に求められる知識と責任
補助金の申請支援を行う専門家（行政書士・税理士・コンサル等）は、次のような知識と姿勢が求められます。
- 補助金制度の最新情報を把握している
- 採択されやすい申請書の作成ノウハウがある
- 交付決定後の実務（報告、証拠書類収集等）にも対応できる
- 返還リスクや注意点をクライアントに説明できる
支援者としても「補助金は返済不要だけど、タダでもらえるわけではない」と伝える責任があります。
9. まとめ｜補助金は返済不要だが「タダではない」
補助金は返済不要という点で魅力的な資金調達手段です。
しかしその一方で、「条件を満たすこと」「ルール通りに使うこと」「報告義務を果たすこと」など、多くの責任も伴います。
「返さなくていいお金」＝「ノーリスク」ではありません。
正しく使えば、ビジネスを大きく加速させる力強い助けとなりますが、誤れば「返還」「罰則」といったリスクもあるのです。
当社からのアドバイス：
採択されたのに辞退？実は多くの人が途中であきらめています
これから補助金を申請しようとお考えの方にとっては少し意外かもしれませんが、実は「採択を勝ち取ったにも関わらず、補助金申請を辞退する方が数多くいらっしゃる」という事実があります。
実際、多くの申請者が採択されたにもかかわらず、補助金を受け取るまでの手続きの途中で辞退を選択し、手続きを断念してしまうケースが少なくありません。
なぜこのようなことが起きるのか、そして補助金を辞退する場合に注意すべきポイントは何か。
詳しくは、こちらの記事で解説しています。
👉 【補助金を辞退】補助金申請の取り下げ方法と注意点
→ https://hojyokin-hiroba.com/how-to-torisage/
この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。
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