📌 目次
🏢 新事業進出補助金とは?
「新事業進出補助金(正式名称:中小企業新事業進出促進事業)」は、2025年度補正予算により創設された新制度で、中小企業が新たな製品・サービスを新市場に提供する取り組みを支援します。
制度の背景と目的
- 人手不足や賃上げといった社会課題に対応
- 中小企業の構造転換と成長を後押し
- 高付加価値分野への進出を促進
本制度は、従来の「事業再構築補助金」の成長枠を引き継ぎつつ、より成果重視・成長志向の設計となっています。
✅ 補助対象者と要件
対象者
- 中小企業・小規模事業者(法人・個人事業主)
- 新たな市場に向けた新製品・新サービスの提供を行う事業者
満たすべき4つの基本要件
- 付加価値額の年平均成長率が+4.0%以上
- 給与支給総額の年平均成長率が+2.5%以上 または 最低賃金成長率以上
- 事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上
- 次世代育成支援対策(行動計画の公表)
これらの要件を満たす3〜5年の事業計画が必要です。
💰 補助率・補助額・対象経費
従業員数 | 補助上限額(通常) | 補助上限額(特例) |
---|---|---|
20人以下 | 2,500万円 | 3,000万円 |
21〜50人 | 4,000万円 | 5,000万円 |
51〜100人 | 5,500万円 | 7,000万円 |
101人以上 | 7,000万円 | 9,000万円 |
- 補助率:一律1/2
- 補助下限額:750万円
- 特例適用条件:最低賃金+50円、給与総額+6%達成
補助対象経費の例
- 機械装置・システム構築費
- 建物費・構築物費
- 外注費・専門家経費
- 広告宣伝・販売促進費
- クラウドサービス利用費 など
📅 申請スケジュールと準備の流れ
2025年度 第1回(確定)
- 公募開始:2025年4月22日(火)
- 申請開始:2025年6月17日(火)
- 締切:2025年7月10日(木)18:00
- 採択発表:2025年10月中旬(予定)
今後の見込み
- 第2回:2025年7月中旬〜8月中旬(予想)
- 年内にあと1〜2回の公募が見込まれます
準備の流れ(逆算がカギ)
- 事業計画の骨子作成
- GビズIDプライムの取得(2〜3週間)
- 認定支援機関との連携開始
- 見積書・添付書類の準備
- Jグランツでの電子申請
- 確認書の取得と最終チェック

当社からのアドバイス:
新事業進出補助金は、前身である「事業再構築補助金」と同様に、補助上限額が非常に高額(最大9,000万円)であることが特徴です。そのため、他の申請者に差をつけて採択を勝ち取るには、あらゆる準備を万全に整えることが不可欠です。
理想的には、申請の約半年前から以下のような準備を段階的に進めることを強く推奨します:
✅ 専門家(士業、補助金コンサルタント等)との意見交換
✅ メインバンクおよび担当税理士との資金計画・税務面の調整
✅ 購入予定の機器メーカーや販売代理店との価格・納期に関する事前交渉
✅ 加点項目(例:賃上げ要件、成長性加点など)の取得に向けた対応
✅ 高額設備導入後の節税対策や資金繰り計画の策定
これらの準備を早期に着手することで、申請書の完成度を高めるだけでなく、審査員に対して「実現可能性の高い事業計画」であることを強く印象づけることができます。また、実務上必須となる税務対策や事業資金計画についても万全を期すことができます。
🎯 採択されるための4つのコツ
補助金の採択獲得は決して簡単ではありません。ここでは、採択されるために押さえておきたい4つの戦略を、より具体的に解説します。
1. 質の高い事業計画書を作成する
補助金の審査では、単なるアイデアではなく「実現可能性」と「成長性」が重視されます。
✅ 実現可能性の裏付け
- 既存の技術・ノウハウとの関連性を明示
- 事業実施体制(人員配置・役割分担)を明確に
- スケジュールやマイルストーンを具体的に記載
✅ 成長性の根拠
- 売上・利益・雇用人数などの数値目標を設定
- 競合との差別化ポイントを明示
- 市場規模やニーズのデータを活用
✅ 例:構成の一例

1. 現状の課題と背景
2. 新事業の概要と目的
3. 実施体制とスケジュール
4. 投資内容と補助対象経費
5. 成果目標とKPI
6. リスクと対応策
2. 審査基準に沿った書類構成
審査員は限られた時間で多数の申請書を読みます。伝わりやすさと整合性が重要です。
✅ 読み手目線の工夫
- 「現状課題 → 解決策 → 効果」の論理展開
- 箇条書きや見出しで視認性を高める
- 図表・グラフを活用して視覚的に訴求
✅ 政策目的との整合性
- 地域経済の活性化、雇用創出、産業の高度化など
- 自社の事業がどのように貢献するかを明示
3. 基本要件を厳守する
どれほど魅力的な計画でも、制度上の要件を満たしていなければ不採択となります。

✅ 数値要件の確認
付加価値額の年平均成長率4.0%以上
給与支給総額の年平均成長率2.5%以上
最低賃金+30円の設定
✅ 整合性のある計画
- 人件費や売上計画と要件の整合性を確認
- 根拠となるデータや計算式を添付資料に明記
4. 電子申請・添付書類の精度を高める
申請は「Jグランツ」上で行われ、形式不備や入力ミスによる差戻しも多く発生しています。
✅ 添付書類のチェックリスト
- 法人の場合:履歴事項全部証明書、直近の決算書類
- 個人事業主の場合:開業届、確定申告書(写し)
- 見積書:補助対象経費ごとに複数社から取得
- 申請内容の妥当性を証明する必須書類 など
✅ 電子申請システム(Jグランツ)の注意点
- 初めて利用する場合は、事前に操作を確認しておくことが重要です。
- 入力ミスや添付ファイルの形式不備があると、差戻しや不採択のリスクが高まります。
- 申請締切直前はアクセス集中によりシステムが不安定になることもあるため、余裕を持った提出を心がけましょう。
✅ GビズIDプライムの取得は早めに
- 電子申請には「GビズIDプライムアカウント」が必須です。
- 発行には2〜3週間かかるため、公募開始前に取得しておくのが理想です。
- 法人は印鑑証明書、個人事業主はマイナンバーカードが必要です。

当社からのアドバイス:採択を勝ち取るための重要ポイント
2025年度から、補助金制度を取り巻く環境は大きく変化しています。特に以下の点について、補助金事務局は審査時に重視していることは間違いありません。
高水準の賃上げ計画に対する実現能力
現在の補助金制度は、石破政権が掲げる「物価高への対応としての賃上げ」を実現するための手段としても活用されています。そのため、近年の大型補助金には、従来よりも厳格な賃上げルールが設けられています。
審査員もこの背景を十分に理解しており、申請時に誓約した賃上げを実際に実行できるかどうか、すなわち、安定的に付加価値を創出できる体制が整っているかを厳しくチェックしています。
したがって、採択を勝ち取るためには、申請事業者が「説得力があり、かつ実現可能性の高い事業計画書」を策定することが極めて重要です。単なる理想論ではなく、具体的な数値や根拠をもとに、実行力を明確に示すことが求められます。
つまり、何となく「毎年15%売上がアップします・・・」という事業計画書ではダメという事です。ご注意下さい。
🔍 事業再構築補助金との違い
「新事業進出補助金」は、事業再構築補助金の後継的な位置づけですが、制度設計や対象事業に明確な違いがあります。
比較項目 | 新事業進出補助金 | 事業再構築補助金 |
---|---|---|
対象事業 | 新製品 × 新市場の挑戦 | 業態転換・新分野展開・事業再編など幅広い |
補助率 | 一律1/2(特例なし) | 条件により2/3まで引上げ可 |
補助上限 | 最大9,000万円(特例適用時) | 最大1.5億円(枠による) |
実施期間 | 交付決定から14ヶ月以内 | 原則12ヶ月(延長可) |
特徴 | 成長要件が厳格、成果重視 | 幅広い業種・事業に対応 |
主な違いのポイント
- 新事業進出補助金は「新市場への進出」に特化しており、既存事業の延長や単なる業態転換は対象外となる傾向があります。
- 成長要件(付加価値額+4%、給与総額+2.5%など)が明確に定められており、成果が求められる制度設計です。
- 一方、事業再構築補助金はより広範な事業再編を対象とし、補助率や上限額のバリエーションも多様です。
📝 まとめ|今すぐ準備を始めよう
新事業進出補助金は、単なる資金援助ではなく、「中小企業の未来を切り拓くための成長投資」を支援する制度です。採択されるためには、制度の趣旨を正しく理解し、論理的かつ実現可能性の高い事業計画を構築することが不可欠です。
✅ 今からできる3つのアクション
- GビズIDプライムの取得を申請する
- 事業計画の骨子を作成し、必要な見積書を集め始める
- 認定支援機関との連携を早めに開始する
2025年度は初年度ということもあり、制度の注目度が高く、申請件数の増加が予想されます。採択率は一部では約40%前後と予想しており、しっかりと準備を進めた事業者が有利になるのは間違いありません。
補助金を活用して、あなたのビジネスに新たな柱を築くチャンスを、ぜひ掴んでください。

新事業進出補助金について別サイトで当社が解説した記事はこちら
https://course.hojyokin-hiroba.com/New-business-venture-subsidy
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この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。