◆スモールM&A・マイクロM&Aとは?
スモールM&A・マイクロM&Aとは、中小企業や個人事業など、比較的小規模な事業の売買を指す言葉です。高齢化に伴う後継者不在や、新たな独立・開業の手段として近年注目が高まっています。
▶スモールM&AとマイクロM&Aの違い
スモールM&Aは、売買価格が数千万円〜数億円規模の中小企業のM&Aを指すことが多く、従業員が10名〜50名規模の法人が対象になることが一般的です。比較的安定した事業基盤があり、継続的な利益を出している会社が多い点が特徴です。
一方、マイクロM&Aは、売買価格が数百万円〜2,000万円程度とさらに小規模な取引であり、個人事業主や数名規模の小さな法人が主な対象です。飲食店や小売店、士業事務所、ネットショップなど、ニッチな市場で運営されている事業が多く含まれます。
どちらも「小規模事業の事業承継・取得」という点では共通していますが、対象となる企業の規模や取引金額に違いがあります。買い手にとっては、少ない資金で事業をスタートできる点、売り手にとっては事業の継続と価値の承継が可能になる点が大きな魅力です。
▶一般的なM&AとスモールM&Aの違い
一般的なM&Aは、上場企業や大企業同士の合併・買収が中心で、取引金額が数十億〜数百億円規模に及ぶことも珍しくありません。法務・財務・税務などの専門家チームが関与し、デューデリジェンスや契約交渉など、複雑で長期間にわたる手続きが必要になります。
一方、スモールM&Aは、年商1億円未満の中小企業や個人事業主を対象とすることが多く、取引金額も数百万円〜数千万円程度と小規模です。買い手と売り手が直接話し合って進めるケースも多く、契約手続きも比較的シンプルです。また、地域密着型の店舗やサービス業など、事業承継や独立開業を目的とした実務的な取引が多い点も特徴です。
このように、一般的なM&Aと比較して、スモールM&Aは手続きの簡素さやスピード感、当事者同士の柔軟な対応が求められる実践的なM&A手法といえます。
▶スモールM&Aのメリットとデメリット
【売り手側メリット】
・事業の継続が可能(親族などの後継者が不在でも第三者承継が可能)
・技術・ブランド・従業員・顧客基盤の維持
・株式や事業の売却で創業者利益が得られる(例:創業者の退職金のようなイメージ)
・買い手の経営資源により、将来的な事業拡大の可能性 など
【買い手側のメリット】
・ゼロから立ち上げるより時間・コスト・リスクが低い
・許認可・顧客・従業員・設備などを一括取得できる
・小規模投資で参入可能(個人や中小企業でも実現しやすい)
・事業の多角化・地域展開の手段にも有効 など
【デメリット】
・売手側の財務情報の整備不足によるリスク(簿外債務・法的リスクなど)
・買手側がM&A終了後に想定していた収益が実現出来ない など
◆スモールM&A全体の流れ
売り手:目的の明確化・決算書類などの整理
買い手:希望する業種・地域・規模などの整理
・仲介会社やマッチングサイトで相手探し
・条件確認・初回面談などで相性チェック
条件の合意(価格・スケジュール)
※基本合意書などを作成
財務・法務・人材等のリスク確認
※トラブルを避けるために重要な工程
・売買条件を最終確定
・契約書への署名・押印
・支払い・株式や事業の引き渡し
・登記や届出の手続きも含まれる
・売り手による引き継ぎ期間のサポート
・買い手の経営開始を支援
スモールM&Aの対象となる中小・零細企業においては、売り手側が長年にわたり会計処理などをおろそかにしていたことによる財務情報の整備不足や、売り手が意図的に不利な情報を開示しないことによる簿外債務や法的リスクなどが問題となる場合があります。
そのため、スモールM&Aにおいては、第三者の立場から対象企業の調査・分析を行える専門家の関与が、M&A成功の鍵を握ると言えます。
◆代表的な企業価値評価(バリュエーション)方法をご紹介
M&Aに「絶対的な価格」はありませんが、客観的な評価手法として以下の3つをご紹介します。
◎時価純資産+営業権(のれん代)
資産-負債の時価+将来の収益力(利益の2〜5年分)
◎類似会社比較法(マルチプル法)
上場企業など同業の財務指標を参考にする手法
◎DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)
将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法
※評価手法には長所短所がありますので、売手側は自社の現状に合わせてより魅力的に見せることができる評価手法を用いて自社の状況説明を行う事ををオススメします。
一方、買手側はいくつかの評価手法を用いて対象会社を分析し、事業承継を検討している企業の強みや弱みを多角的に調査することをオススメ致します。
◆当社の特徴とサポート体制
弊社はスモールM&Aに特化したM&A支援会社です。グループ内に士業事務所があり、士業の業務に理解がある為、特に行政書士・税理士・社労士・司法書士など士業事務所のM&A支援に注力しています。
【譲渡側】こんな方におすすめ
・安心できる相手に会社を託したい
・正当に会社の価値を評価してほしい
・地元の競合には売りたくない
【譲受側】こんな方におすすめ
・既存顧客の業務を引き継ぎたい
・成長性や安定性のある事業を探している
・短期間で収益の柱を獲得したい
・ノウハウや人脈も大切に引き継ぎたい
この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。