はじめに:補助金申請に必要な「市場理解」と「事業の位置づけ」
補助金申請では、事業の具体性だけでなく、「市場環境の理解」や「競争優位性の根拠」が求められます。
そのため、単に「やりたいこと」を書くだけでは不十分であり、「なぜこの事業が必要なのか」「どんな顧客に、どんな価値を、どう届けるのか」を論理的に説明する必要があります。
そこで活用できるのが「3C分析」です。
3C分析は、マーケティング戦略の基本フレームワークであり、Customer(顧客)、Company(自社)、Competitor(競合)の3つの視点から事業環境を整理することで、補助金申請書の説得力を高めることができます。
3C分析とは?:事業環境を立体的に捉えるフレームワーク
3C分析は、以下の3つの要素から構成されます:
- Customer(顧客・市場)
- Company(自社)
- Competitor(競合)
この3つの視点を通じて、「誰に」「何を」「なぜ自社が提供するのか」を明確にすることで、事業の必要性と優位性を論理的に説明できます。
👥 Customer(顧客・市場):誰に価値を届けるのか
補助金申請では、「どんな顧客に、どんなニーズがあるのか」を明確にすることが重要です。
顧客理解が浅いと、事業の必要性が伝わらず、採択率が下がる傾向があります。
🔍 顧客分析のポイント
- ターゲット層の明確化
年齢、性別、職業、地域、ライフスタイルなど、具体的な属性を設定することで、事業の焦点が定まります。 - 顧客ニーズの把握
顧客が抱える課題や不満、求めている価値を言語化することで、事業の意義が明確になります。 - 市場規模と成長性
対象市場がどれくらいの規模で、今後どのように成長するかを示すことで、事業の将来性を裏付けられます。 - 顧客の購買行動・意思決定プロセス
顧客がどのように情報を得て、どんな基準で選ぶのかを理解することで、販売戦略の設計に役立ちます。
🏢 Company(自社):なぜ自社が取り組むべきなのか
補助金申請では、「なぜこの事業を自社が行うのか」「自社にどんな強みがあるのか」を明確にする必要があります。
単なる意欲だけでなく、実行力や専門性を示すことで、事業の信頼性が高まります。
🧩 自社分析のポイント
- 経営資源の整理
人材、技術、設備、ノウハウ、ネットワークなど、自社が持つ資源を棚卸しすることで、事業の実現可能性を示せます。 - 過去の実績・経験
類似事業の経験や、顧客対応の履歴などを記載することで、信頼性と再現性をアピールできます。 - 組織体制と運営能力
誰が、どのような役割で事業を推進するかを明示することで、実行力の裏付けになります。 - 事業との親和性
自社の理念や既存事業との関連性を示すことで、補助金による一時的な取り組みではなく、継続的な事業であることを伝えられます。
⚔️ Competitor(競合):他社との違いは何か
補助金申請では、「競合との差別化」が明確であることが求められます。
競合と似たような事業では、「なぜ自社が選ばれるのか」「どんな独自性があるのか」を説明しなければなりません。
🔍 競合分析のポイント
- 競合の特徴と戦略
同業他社がどんな商品・サービスを、どんな価格・チャネルで提供しているかを把握することで、自社の立ち位置が明確になります。 - 競合の強みと弱み
技術力、ブランド力、顧客対応など、競合の強みと弱みを分析することで、自社の差別化ポイントが見えてきます。 - 市場でのポジショニング
自社が「高価格・高品質」なのか、「低価格・大量提供」なのかなど、競合との位置関係を整理することで、戦略の整合性が高まります。 - 競合との棲み分け
顧客層や地域、提供方法などで競合と重ならない部分を示すことで、市場の中での独自性を強調できます。
✍️ まとめ:3C分析で「なぜこの事業なのか」を論理的に説明する
補助金申請では、「やりたいこと」だけでなく、「なぜそれをやるべきなのか」「なぜ自社がやるのか」「なぜ今なのか」を論理的に説明する必要があります。
3C分析は、Customer・Company・Competitorの3つの視点から事業環境を整理することで、申請書の説得力を高める強力なツールです。
補助金の申請書作成などで分析方法にお困りの方は是非この3C分析もご検討下さい。こちらは初心者でも比較的簡単に利用出来る分析手法です。
なお、以下のように整理すると効果的です。
Customer:誰に、どんな価値を届けるか
Company:なぜ自社が取り組むべきなのか
Competitor:他社とどう違うのか、なぜ選ばれるのか
上記のような視点で事業を設計すれば、補助金申請書が「納得感のある計画書」に生まれ変わります。
補助金は、社会的意義と実現可能性の両方が求められる制度です。3C分析を活用して、事業の本質をしっかりと伝えましょう。
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この記事を書いた人
経産省 認定支援機関 株式会社エイチアンドエイチ
代表取締役 畠中 均(はたなか ひとし)
大手企業を退職後、20代で起業しゼロから複数の事業を展開。現在は、25年以上の経営経験を活かし、認定支援機関として現場経験豊富な経営者としての目線で中小企業支援を行うほか、士業・コンサル向けに中小企業支援の実践的ノウハウを学べる機会の提供にも注力している。